『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』ネタバレ解説|あらすじ・結末と記憶喪失の理由
『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』は、旧20世紀フォックス版『X-MEN』映画から派生した、ウルヴァリン単独3部作の第1作です。公開順では旧3部作の後、物語はローガンがX-MENと出会う前にさかのぼります。MCU本編の作品数には含めません。兄ビクターと過ごした年月を一気に見せた後、ケイラとの静かな暮らしへ切り替える構成が印象的です。なぜローガンは兵器になり、最後に記憶を失うのか。出来事だけでなく、その見せ方が何を残すかまで考えます。
まず結論を言うと、ローガンの記憶を奪ったのはアダマンチウム手術ではなく、最後にストライカーが頭へ撃ち込んだ弾丸です。ケイラの死も偽装でした。ただし、ローガンへの愛情まで偽物だったわけではありません。
ここから先は『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』の結末までのネタバレを含みます。
『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のネタバレあらすじ
幼いジェームズは力を発現し、ビクターと逃亡する

幼いジェームズ・ハウレットは、家族をめぐる衝撃的な出来事の中で骨の爪を出します。彼とともに逃げたのは、兄のビクター・クリード。二人は異常な治癒能力を持ち、戦争の時代を何度も生き抜いていきます。
ただ、兄弟は同じ力を持っていても同じ人間にはなりません。ビクターは暴力に身を任せ、ジェームズはその行き過ぎを止めようとします。このずれが、後に二人を引き裂くことになります。
ストライカーの部隊を離れ、ローガンはケイラと暮らし始める
ウィリアム・ストライカーは二人を特殊部隊に迎えます。そこにはウェイド・ウィルソン、ジョン・レイス、フレッド・デュークスら、能力を持つ隊員もいました。アフリカで特殊な鉱石を探す任務中、部隊は村人を脅して採掘場所を聞き出そうとします。
そのやり方に耐えられなくなったローガンは部隊を去りました。年月が過ぎ、カナダでケイラ・シルバーフォックスと静かに暮らします。ところがかつての隊員が次々と襲われ、ビクターがローガンの前に現れます。ケイラを失ったと信じたローガンは、復讐のためにストライカーの提案を受け入れました。

骨格にアダマンチウムを結合し、「ウルヴァリン」が誕生する

ストライカーは、アフリカで得た鉱石から作った合金「アダマンチウム」をローガンの骨格に結合させます。治癒能力があるローガンでも、手術は激しい苦痛を伴うものでした。ローガンは自ら「ウルヴァリン」の名を選びます。
しかし手術後、ストライカーが彼の記憶まで消そうとしていると知り、施設から逃走。逃亡先で老夫婦に助けられますが、追跡者との戦いに二人も巻き込まれます。ここでローガンの復讐は、もはや自分だけの問題ではなくなりました。
ローガンが手術を選んだのはケイラを殺したビクターに勝つためです。ところがストライカーが欲しかったのは、復讐を果たす一人の男ではなく、命令に従う兵器でした。手術直後の逃走は、その目的を知ったローガン自身の選択です。
レイスとデュークスを訪ね、ガンビットから島の場所を聞く
ローガンは元隊員のレイスを訪ね、デュークスからストライカーの実験施設が島にあると聞きます。そこには能力を持つ若者たちが集められ、複数の能力を一人へ統合する計画が進んでいました。
島から脱出したことのあるレミー・ルボー/ガンビットを探し出し、ローガンは施設へ向かいます。この道筋で明らかになるのは、ビクターの襲撃もストライカーの計画と切り離せないことです。
ケイラの死は偽装。ストライカーはローガンを実験へ誘導していた
島でローガンは、ケイラが生きていたことを知ります。彼女には触れた相手の意思に働きかける能力があり、妹を人質に取られてストライカーへ協力していました。死の偽装は、ローガンを復讐へ向かわせ、アダマンチウム結合を受け入れさせるための仕掛けだったのです。
ローガンにとってつらいのは、ケイラへの気持ちまで作り物だったのか分からなくなること。ただし彼女は、ローガンへの愛情は本物だったと伝えます。利用と愛情が同時に存在したことが、単純な「裏切り」の一言では片づかないところです。
ここでケイラを責めるだけでは、妹を拘束して選択肢を奪ったストライカーの責任が見えなくなります。ローガンが信じた生活は罠の一部でしたが、そこで育った二人の感情までストライカーが支配できたわけではありません。
ウェポンXIとの戦いの後、ローガンは記憶を失う
ストライカーが作り上げた実験体は、かつての隊員ウェイド・ウィルソンを改造した「ウェポンXI」。劇中では「デッドプール」とも呼ばれ、複数のミュータントの能力を備えています。ローガンとビクターは対立したまま、この共通の脅威に立ち向かいます。
その後、ストライカーはアダマンチウム製の弾丸でローガンの頭を撃ちました。治癒能力によって命は助かりますが、過去の記憶は戻りません。一方、拘束されていた子供たちは脱出し、チャールズ・エグゼビアに保護されます。ケイラとの別れも分からないまま、ローガンは自分の名を聞いて旅立つのでした。
ケイラは残された力でストライカーを歩き続けさせ、その後に命を落とします。ローガンは生き延びたのに、彼女との記憶を失いました。結末が苦いのは、ストライカーの計画を止めても、二人の時間だけは取り戻せないからです。
『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』の登場人物
ローガン/ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)

本名はジェームズ・ハウレット。治癒能力と骨の爪を持ち、ストライカーの実験で骨格と爪にアダマンチウムが結合されます。復讐に突き動かされますが、無関係な人を犠牲にするビクターやストライカーとは違う道を選ぼうとします。
ビクター・クリード/セイバートゥース(リーヴ・シュレイバー)

ローガンとともに長い年月を生きた兄。二人の絆は本物ですが、ビクターは力と暴力によってしかそれを守れなくなっています。ストライカーに利用されながらも、最後までローガンとの兄弟関係に執着します。
ウィリアム・ストライカー(ダニー・ヒューストン)

特殊部隊の指揮官で、アダマンチウム結合とウェポンXI計画を進める人物です。ローガンの復讐心を利用し、本人の意思に反して記憶も消そうとします。本作の出来事を「兄弟げんか」だけにしない、もう一つの中心です。
ケイラ・シルバーフォックス(リン・コリンズ)

ローガンの恋人。妹を救うためストライカーに従い、死を偽装しました。触れた相手に働きかける能力を持つため、彼女の言葉をローガンが疑うのも無理はありません。それでも、すべてが命令だったわけではないと最後に示します。
レミー・ルボー/ガンビット(テイラー・キッチュ)

ストライカーの島から逃げたミュータント。ローガンが施設へたどり着くための手掛かりを持っています。彼自身の物語よりも、島の実態を明らかにする役割が大きい人物です。
ウェイド・ウィルソン/ウェポンXI(ライアン・レイノルズ)

ストライカーの部隊では、軽口をたたきながら刀を使う隊員として登場します。終盤では複数のミュータント能力を与えられ、口を塞がれたウェポンXIとしてローガンたちの前に現れました。冒頭のウェイドと最後の実験体は、同じ人物です。
『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』の小ネタ・関連作品
記憶を失った原因は手術ではなく、ストライカーの銃撃
ローガンはアダマンチウム結合の手術を受けますが、それだけで記憶を失ったわけではありません。終盤にストライカーが頭を撃ち、治癒した後も過去の記憶が戻らなくなりました。爪の金属化と記憶喪失は、同じ計画から生じた別々の出来事です。
本作のウェポンXIと後年の『デッドプール』は混同しない
ウェイド役としてライアン・レイノルズが登場し、終盤には改造されたウェポンXIが現れます。ただし、後年の単独映画『デッドプール』をこの実験体の単純な続編として読むと混乱します。まずは本作内のウェイドとウェポンXIの関係を押さえ、別作品では描き方が変わったと整理するのが安全です。
この違いは「役者が同じだから同じ経歴」と考えないことがポイントです。『デッドプール』のウェイドを理解するために、本作のウェポンXIを必修の過去として扱う必要はありません。
戦争のモンタージュとケイラとの日常は、何を対比している?
冒頭は兄弟がいくつもの戦争を生き抜く時間を、短い場面の連なりで一気に進めます。二人にとって暴力が特別な事件ではなく、長い生活の一部だったことが伝わります。そこからケイラとの穏やかな暮らしへ移ると、ローガンが初めて戦い以外の時間を選んだように見えてきます。
だからケイラの死を信じたとき、彼が失うのは恋人だけではありません。ようやく見つけた普通の生活そのものです。ストライカーの計画は、この喪失感を利用してローガンを手術台へ向かわせます。映画の前半で生活の対比を見せたからこそ、後半の「兵器に戻される」痛みが効いてくるわけです。
記憶を失う結末は、なぜ単なる設定説明で終わらない?
この映画は「なぜ過去を覚えていないのか」というシリーズの疑問に答えます。ただ、その答えをラストの銃撃まで取っておくことで、説明がローガンとケイラの別れに重なります。彼は身体の傷を治せても、二人で過ごした時間へ戻ることはできません。
名前の由来や金属の爪を見せるだけなら、前日譚は設定集になりかねません。本作は、得た力と失った記憶を同じ人物の選択と喪失に結びつけています。そこがローガンの過去を振り返るうえで大事なところです。
『X-MEN』シリーズとMCUは作品番号を分ける
本作は旧20世紀フォックス製作の『X-MEN』映画です。ローガンの過去を知る入口になりますが、Marvel StudiosのMCUフェーズ作品として数えるものではありません。映画『X-MEN』シリーズの見る順番と、ウルヴァリン人物解説を合わせると、他作品との位置関係を確認できます。
まとめ
- ローガンは兄ビクターとの対立を経て、ストライカーの実験でアダマンチウムの骨格を得ます。
- ケイラの死は偽装で、ストライカーはローガンの復讐心を利用していました。
- 終盤の銃撃でローガンは記憶を失います。ウェポンXIは本作の実験体として整理します。
ローガンを最も傷つけたのは、爪や銃弾だけではありません。兄との絆も、恋人との時間も、誰かの計画に利用されていたことです。それでも最後に残るのは、他人に決められた「兵器」としてではなく、自分の足で歩き出すローガンでした。
『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のアイキャッチ。出典:Disney+公式作品ページ ©20th Century Studios
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