映画「X-MEN ファイナルディシジョン」は、1963年に生まれたマーベル・コミック作品の人気シリーズの1つ「X-MEN」の実写映画化第3作目で、2006年に公開されました。元祖アメコミムービーとしての過去2作と異なり、指揮をとったのはブライアン・シンガーです。
前作では、ミュータントを殲滅しようとしていた軍事科学者ストライカーの陰謀を阻止することに成功したX-MENでしたが、本作はさらなる試練が待ち受けています。湖で消えたはずのジーンの復活とともに、人類とミュータントとの戦い最終章はどうなるのか?ネタバレ含め、紹介していきましょう。
「X-MEN:ファイナルディシジョン」あらすじ
20年前の、とある住宅街。一台の車が、グレイ家の前に停まりました。中から出てきたのは、ちょっとだけ若いプロフェッサーXとマグニートーの2人。その家に住むジーンという少女は、凄まじいパワーを持っており、念じるだけで周囲の車を持ち上げたりもできました。プロフェッサーXは彼女を説き伏せます。
そして現在、ミュータント省のハンク長官は、大統領に呼ばれ、衝撃的な情報を入手します。逃亡していたミスティークが食品医薬品局から盗んだファイルに、リーチという少年のデータとともに、ミュータント抗体「キュア」が開発されたというのです。そして、アルカトラズ島では開発発表の記念式典が開かれようとしていました。
10年前、資産家のワージントンは、息子の背中に翼が生えミュータント化したことで、治療薬を開発しようと思い立ちました。まさにそれがキュア誕生のきっかけでした。
X-MENどうなる?失意のサイクロップスに、ジーンが現れて…
X-MENは、学園の生徒たちをメンバーにするために、訓練を続けていましたが、リーダーのはずだったサイクロップスは、消えたジーンを忘れられず落ち込んでいました。
サイクロップスはある日、バイクを飛ばして、アルカリ湖に向かいます。ジーンの声が聞こえ、オプティックブラストを湖に放つと、光とともにジーンが現れました。再会を喜び抱き合う2人でしたが、その瞬間、学園にいたプロフェッサーXは異変を感知。ジェットで向かったアルカリ湖にはサイクロップスの姿はなく、湖岸に横たわるジーンだけが見つかったのでした。
学園に連れ戻されたジーンは、眠っていましたが、大きなダメージはありませんでした。ここでウルヴァリンに、プロフェッサーXはジーンの危険な別人格「フェニックス」について打ち明けます。フェニックスはプロフェッサーXが封じ込めていたもので、どうやら目を覚ましている可能性があるようです。
キュアに徹底抗戦!マグニートーがミュータントたちを組織化しブラザーフッド再結成
キュア開発に反発するミュータントの決起集会が行われ、そこにはマグニートーがいました。「人類は治療を強制してくるはずだ」と、マグニートーは戦うための組織ブラザーフッドに加わるよう、呼びかけます。
そしてついに、ミュータントから人間に戻るための薬キュア投与が開始されました。開発者ワージントンの望みは、翼を生やした息子が投与者第1号になることです。しかし、息子は直前になって抵抗し、施設から逃げ飛び立ってしまうのでした。
とらわれていたミスティークは、マグニートーたちによって救出されました。ミスティークは、マグニートーにキュアの元が子供のミュータントであることを伝え、他の収監ミュータントを解放します。しかしその間に、負傷していた刑務官が発砲したキュアが、マグニートーをかばったミスティークに。人間の姿に戻ってしまったミスティークに「もう仲間ではない」と置き去りにしてしまいます。
フェニックス覚醒!最強レベルの能力解放、その力は誰のもの?
ホワイトハウスには、ハンクが大統領に抗議に訪れていました。ミュータント省の意見を聞かず、キュア投与が開始されてしまったためです。「仲間の元にいく」とハンクは辞職し、X-MENたちが待つ学園に向かいます。
学園では、眠っていたジーンが目覚めました。「気分がいいわ」と爽快な笑顔ですが、いつもと違う様子を見て、別人格のフェニックスであることに気づいたウルヴァリンは、ジーンに「スコットは?」とサイクロップスの行方を尋ねます。すると瞬間的に、元のジーンに戻ったと同時に「また誰かを殺す前に(自分を)殺して」と呟き再びフェニックス化、そのまま姿を消してしまいます。
マグニートーたちは、ジーンの能力が覚醒したことを察知し、検知能力を持つカリストの力を使って、ジーンの元に向かいます。また、プロフェッサーXたちも、姿を消したジーンを探しジーンの実家に向かい、そこでマグニートーたちブラザーフッドと再会することになるのです。
ジーンがプロフェッサーXを殺し、ブラザーフッドのメンバーに
家の中には、フェニックスとなったジーンが、怒りをたぎらせており、プロフェッサーXは説得を試みますが、聞く耳を持ちません。そしてマグニートーはジーンを仲間にしようと語りかける中、X-MENとブラザーフッドのメンバーは戦いを始めます。ジーンは暴走の末、プロフェッサーXを粉々に粉砕してしまいます。
プロフェッサーXは亡くなり、葬儀が営まれました。悲しみにくれるキティをアイスマンが慰める様子をみて、彼氏のアイスマンに触れられないローグはキュア投与を決意します。
森の中ではジーンとマグニートーたちの組織ブラザーフッドが戦いの準備をしていました。ジーンはマグニートーの言葉にも「私を指示するの?」と、耳を貸すことはありません。
決戦はアルカトラズ島、キュアを消し去ろうとするブラザーフッドに、X-MENが立ちはだかり激突!
プロフェッサーXの墓前で、ウルヴァリンはジーンの声を聞き、ジーンの元に向かおうと荷物をまとめ、森に向かいます。そこでは、ブラザーフッドの決起集会に潜り込み、マグニートーがキュアの素リーチがいるアルカトラズ島に向かうことを高らかに宣言していました。
キュアを反対するミュータントたちが集まるワージントン治療ラボの前には、投与を待つミュータントもいました。パイロが炎を投げ込み、大きな被害をもたらすとともに、テレビを通じてマグニートーが宣戦布告。ホワイトハウスでは、大統領が「戦争になっても構わん」とトラスク長官に軍を動かすことを命じます。武器は全てプラスチック、そして弾丸はキュアです。
マグニートーはレインボーブリッジを能力で破壊し、ワージントン研究所のある島までの懸け橋にし総攻撃を開始します。政府も軍を送り込み一触触発状態に。そしてそこにX-MENも到着しキュアの元リーチを守ろうとします。
ジーンとウルヴァリンの悲しい別れ。そしてマグニートーの能力は、本当に消滅した?
激闘の最中、キュアを見つけたウルヴァリンたちは、マグニートーの胸に突き刺します。ジーンの暴走は止まらず、軍人たち粉砕、研究所やあらゆるものを粉々にしていきます。ウルヴァリンは粉々にされかけながらジーンに近づきます。「人間のために死ぬ気?」と問いかけるジーンに、ウルヴァリンが「君のためだ」と答えます。その瞬間に元に戻ったジーンに、ウルヴァリンは涙ながらに、彼女の身体に爪を突き刺すのでした。それと同時に惨事はおさまったのです。
プロフェッサーXの暮石の横には、ジーンとサイクロップスの暮石も並びました。学園は再開、大統領はハンクを人間とミュータントの代表として国連大使に任命します。そして、力だけでなく、友であるプロフェッサーXも失い、一人でチェスをさすマグニートーの指先が、離れたチェスの駒をユラユラと揺らす場面を最後に、ストーリーは幕を下ろします。
「X-MEN:ファイナルディシジョン」登場人物
ここでは、新たな追加メンバーを中心にご紹介するので、前作に続いてのメンバーは名前のみに留めます。前作からのキャストは以下。
- ウルヴァリン/ローガン(ヒュー・ジャックマン)
- プロフェッサーX/チャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)
- マグニートー/エリック・レーンシャー(イアン・マッケラン)
- ジーン・グレイ(ファムケ・ヤンセン)
- ストーム/オロロ・マンロー(ハル・ベリー)
- サイクロップス/スコット・サマーズ(ジェームズ・マースデン)
- ローグ/マリー・ダンキャント(アンナ・パキン)
- アイスマン/ボビー・ドレイク(ショーン・アシュモア)
- パイロ/ジョン・アライダス(アーロン・スタンフォード)
- ミスティーク/レイブン・ダークホルム(レベッカ・ローミン・ステイモス)
- コロッサス(ダニエル・クドモア)
ここからは、初登場キャストをご紹介しますね。
シャドウキャット/キティ・プライド(エレン・ペイジ)
同調能力を持つミュータントで学園の生徒。その能力によって、物質を自分の体や自分の触れている物にすり抜けさせることが出来ます。また、原作によればプロフェッサーXはキティをX-MENに参加させることをあまりヨシとしていなかったらしいですが、それは彼女がユダヤ人の家系であり、祖父はアウシュビッツに収容されていたという経歴がマグニートーと関わるのでは?と思われたからのようです。本作を見る限りはアイスマンに好意を寄せているようで、ローグと微妙な関係も見え隠れしていますが、原作ではコロッサスの恋人なんです。
ビースト/ヘンリー“ハンク”・マッコイ(ケルシー・グラマー)
動物的な身体能力と感覚機能と同時に、優れた知力も持つミュータント。そのために頭脳明晰で思慮深く、人類とミュータンとの架け橋になるミュータント省の長官を務めます。X-MEN初代メンバーであることは、X-MENのコスチュームを着用しながら「窮屈になった」と呟くことからわかります。本来は人間の姿に近かったのですが、普通の人間になりたいという願望から自身で実験をしたことで、今の姿になってしまったというエピソードを持つ彼の若き日の活躍は、本作以降で存分に見ることができます。
エンジェル/ウォーレン・ワージントン三世(ベン・フォスター)
背中に5mに及ぶ羽が生えるため空を飛べ、かつヒーリングファクター(回復能力)ももつミュータントで、大富豪の御曹司。父親に羽が生えていることをひた隠しにしようとし、かつそれがバレてしまったことでキュアが開発されてしまいます。原作ではX-MENの初代メンバー。映画シリーズでは今後、「アポカリプス」でもちらっと出てきます。
リーチ/ジミー(キャメロン・ブライト)
一定の範囲内に近づいたミュータンの能力を無効化する能力を持つミュータント。しかし、その効果が続く時間はまちまちのようです。原作では緑色の肌の少年でしたが、本作では白い肌の、スキンヘッド(もしかして手術とかされちゃった?)の美少年です。その能力を利用され、本作の災いの種=ミュータントの能力を抑える新薬“キュア”の開発の素になってしまいました。
ジャガーノート/ケイン・マルコ(ヴィニー・ジョーンズ)
ブラザーフッドのメンバー。突進攻撃を得意としますが、ミュータントではありません。強靭な肉体や体力は突然変異ではなく、サイトラック神のクリムゾンジェムと呼ばれる魔石によって後天的にもたらされています。魔石は使用者にサイトラック神と同様の能力をもたらし、これによってジャガーノートはマイティ・ソーと同格の強さを手に入れました。プロフェッサーXの義父の息子という設定でもあるそうで、実はプロフェッサーXの義兄弟みたいですね。
マルチプルマン/ジェイミー・マドロックス(エリック・デイン)
無限に分身を作り出す能力を持つミュータントで、ブラザーフッドのメンバー。政府に、ブラザーフッドの拠点殲滅作戦を撹乱する際に、無数の分身を配置しました。
その他ミュータントは以下です。
●カリスト
右頬に印をもち高速移動ができ、ミュータントのレベルを感知できる。マグニートの思想に賛同し、彼の仲間に加わる
●アークライト
両手を打ち合わせることで衝撃波を起こす
●キッド・オメガ
全身からハリネズミのようなトゲを出す
●サイロック
姿を消すことができる。サイキックを操るミュータント。ジーンやプロフェッサーXに勝るとも劣らない最強の能力を保有しています
その他人類側は以下です。
●ウォーレン・ワージントン(マイケル・マーフィー)
エンジェルの父親で大富豪。息子のミュータントを「治そう」としてキュアを開発します。
●大統領(ジョセフ・ソマー)
ミュータント省のハンクと協力しながら政府を指揮していたが、キュア開発となった途端に方向転換してしまうという「風見鶏」的な大統領。
●トラスク局長(ベン・デューク)
ミスティークに姿を真似られてしまったことで、キュアの情報を盗まれてしまう。ん?トラスク?今後の作品では、X-MENを苦しめるセンチネルを開発する科学者のボリバー・トラスクと呼ばれる人物が登場しますが、関係ある?
「X-MEN ファイナルディシジョン」にまつわる小ネタあれこれ
引き継いだのはブレット・ラトナー監督
本作は、ブライアンシンガーが引き続き監督する予定でした。しかし、社内事情?業界事情?いろいろあるようでして。なり手のいない「スーパーマンリターンズ」監督を引き受けることになってしまい、泣く泣く三本目のX-MENを手放すことに。そして、ブレット・ラトナー監督に引き継ぐことになりました。ラトナー監督は、バディムービーの傑作「ラッシュアワー」で有名です。ヒーローものだと「ヘラクレス」やスリラーだとハンニバル・レクター博士シリーズ「レッド・ドラゴン」で知られています。
リーダーだったのにサイクロップスの出番は、ほぼなし!?
前作まで見ていれば、どう考えてもリーダーだろ!な、サイクロップス。まあ、前作でジーンを失い、茫然自失となるのはわからなくないが、やる気がなさすぎるぞ!ジーンに消されちゃうしなんだそれ!と思ったら、なんのことはない、やむない事情でリーダー降板になっちゃったんですって。前述のブライアン・シンガーが「スーパーマンリターンズ」を指揮することになったついでに、一緒にそっちの作品に連れて行ったんだとか。そりゃあ、出番増やしようがないわけだ。これにより、ウルヴァリンがなぜか先生役を押し付けられているのです。
「ダークフェニックス・サーガ」がベース。公開を控えた「X-MEN ダークフェニックス」序章でもある
本作のベースとなっているのは、X-MENシリーズの原作でも人気のストーリーラインで1980年の「ダークフェニックス・サーガ」です。クリスクレアモント「ダークフェニックス・サーガ」ではジーンの暴走とともに、サイクロップスとの悲恋も描かれている作品です。そもそも、ダークフェニックスとは、ジーンの別人格であるフェニックスが、その力を制御することができずに暴走してしまっている状態のこと。本作でも、今までのジーンとは全く違う様子であることから、フェニックスの暴走状態になっていることがわかります。
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ジーンに消滅させられたプロフェッサーXは生きている?
お約束の作品終了&ポストクレジットにて。モイラという医師に話しかける男性は、プロフェッサーXにそっくりです。あれ?プロフェッサー死んでないの?名札には「P・エグゼビア」とあります。チャールズじゃなくて、P?実は、プロフェッサーXには、双子の兄弟がいて、自分の意識を転移させていたという筋書きなんです。そして、このモイラ医師はプロフェッサーXの元恋人。その馴れ初めなどは、新三部作の第1作目「ファーストジェネレーション」で描かれています。
ミュータント省のハンクは前作でもこっそり出ていた
ファーストジェネレーション以降に繋がるビースト/ハンクの存在は本作で突然フィーチャーされたが、実際は1作目から出る予定でした。だってハンクは、原作ではX-MEN初代メンバーなんですもの!しかしまあ、当時のメイク事情の問題で無くなっちゃったみたいです。前作ではテレビ画面で研究者としてカメオ出演していました。
ミュータントの能力は実はレベル分けできる
マグニートーの仲間になったカリストが、ミュータントの能力を測定できることで、能力はレベル分けできることが明らかになりました。ジーンは最強扱いのクラス5、マグニートーはクラス3と言われているが、実際原作ではオメガレベル、アルファレベルとも呼ばれている。ジーンのクラス5はプロフェッサーXもしのぎ、暴走したフェニックス=ダークフェニックスはさらに計り知れない力のようです。数値的にはどのくらいなんでしょうね。
スタン・リーとクリス・クレアモントも!豪華なカメオ出演
お約束の、スタン・リーを探せ!です。マーベルのあらゆる作品で、顔見せしてくださるマーベルの顔スタン・リー氏。本作では、冒頭で登場です。ちょっとだけ若いプロフェッサーXとマグニートーが少女ジーンの自宅を訪問するジーンの幼少期を描く場面で、ご近所さんで洗車してるお爺ちゃん。ジーンの強大なパワーで大事な愛車が持ち上がって、超びっくりしています。そこに実はクリス・クレアモント氏もいますよ。
まとめ!本作品の見どころ、大事なポイント
- 人類とミュータントの戦い3部作はひとまず決着?ウェポンX計画は、この先どうなっていくのか?
- キュアはミュータントの力を消したわけでもなさそう…ミュータントの戦いはまだ続く。ジーンはどうなる?今後公開予定の「ダークフェニックス」への期待も。
- 死んだはずのプロフェッサーXの精神は無事に転送済み。これから先は新シリーズ「ファーストジェネレーション」から始まり、時系列の並び替えへ。
前作で明らかになったウルヴァリンに関する秘密やウェポンX計画は、本作では一旦なりを潜め、まずは三部作を収束させる形となりました。そのあたりは、本作公開中にスピンオフ作品制作情報が流れたことで、そちらでわかるんでは?と期待して良さそうです。
今後の展開は、まずミュータントの存在に関する話題。ラストのマグニートーの様子を見る限りは、キュアを投与されてもミュータントの能力は完全消失した訳でもなさそうです。また、プロフェッサーXも復活の予感は十分にありますから、新たなミュータントの世界が始まることを予感させます。三部作最終章であるとともに、新たな三部作への序章とも言える本作、是非とも楽しんでみてくださいね!
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