『ウルヴァリン:SAMURAI』は、『X-MEN』映画から派生したウルヴァリン単独3部作の第2作です。公開順では『X-MEN ZERO』の後、物語は『X-MEN:ファイナル ディシジョン』でジーンを失ったローガンを追います。MCU本編ではありません。今回は「死ねない男」を、傷が治らない状況へ置くところが面白い。矢志田の申し出は救いなのか、それとも罠なのか。戦い方の変化とジーンの幻影を手掛かりに読み解きます。

以下、映画の結末までのネタバレを含みます。

『ウルヴァリン:SAMURAI』のネタバレあらすじ

長崎で救った矢志田との再会を求め、ローガンは日本へ

病床の矢志田市朗
病床の矢志田市朗。出典:『ウルヴァリン:SAMURAI』 ©20th Century Studios

ローガンはかつて長崎で矢志田市朗の命を救いました。長い年月を経て、ユキオが彼を訪ね、余命わずかな矢志田のもとへ連れていきます。ジーン・グレイを失った記憶に苦しむローガンに、矢志田は治癒能力を譲れば普通に年を取り、死ぬこともできると提案しました。

ローガンは申し出を断ります。けれども、矢志田の死後に襲撃事件が起こり、孫のマリコを守るうちに、自分の傷がいつものようには治らないと気づきます。強さを当然としていた人が、初めて死を身近に感じるのです。

日本で戦うローガン
日本で戦うローガン。出典:『ウルヴァリン:SAMURAI』 ©20th Century Studios
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マリコを守る逃避行で、ローガンは「守る理由」を取り戻す

矢志田家の相続をめぐり、マリコは命を狙われます。ローガンは彼女と逃げ、敵の手から守ろうとします。治癒能力が弱ったままの戦いは、これまでよりずっと危険です。

二人が近づく一方で、ローガンはジーンへの罪悪感から完全には自由になれません。マリコを守る行動は、過去の喪失を忘れることではなく、今目の前にいる人のために再び動くことでもあります。

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体内の装置が治癒能力を妨げていた

ユキオはローガンを支え、マリコの行方を追います。ローガンの治癒能力が失われたように見えたのは、彼の身体に埋め込まれた装置が能力を妨げていたためでした。装置を取り除くと、回復する力が戻ります。

ただし、それで問題が終わるわけではありません。マリコが連れ去られ、ローガンは矢志田家の施設へ向かいます。仕組みを知ったことで、彼は「弱くなったから逃げる」のではなく、なお戦う道を選びます。

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銀のサムライの中にいたのは矢志田だった

銀のサムライとの戦い
銀のサムライとの戦い。出典:『ウルヴァリン:SAMURAI』 ©20th Century Studios

最終決戦で現れる銀のサムライ。その中にいたのは、死んだと思われていた矢志田でした。彼が求めていたのはローガンを解放することではなく、自分の命を延ばすためにローガンの治癒能力を奪うことだったのです。

ローガンは「死ねるようになる」という誘いを断りました。一方の矢志田は、死を恐れるあまり他人の力を奪おうとします。同じ死を前にしながら、二人が選ぶ道は正反対です。

戦いでローガンのアダマンチウムの爪は切断されますが、骨の爪が再び現れます。ローガンは矢志田の計画を止め、マリコは自分の人生と家業に向き合う道を選びました。ローガンはユキオと日本を離れます。死を望むほど疲れていた彼が、もう一度生きる方へ動き出した結末です。

『ウルヴァリン:SAMURAI』の登場人物

ローガン/ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)

日本でのローガン
ローガン/ウルヴァリン。出典:『ウルヴァリン:SAMURAI』 ©20th Century Studios

ジーンを失った痛みから、以前のように生きる目的を持てずにいます。日本での戦いは能力を奪われる恐怖だけでなく、誰かを守る選択をもう一度できるかという試練でもあります。

マリコ・ヤシダ(TAO)

マリコとローガン
マリコ(左)とローガン。出典:『ウルヴァリン:SAMURAI』 ©20th Century Studios

矢志田の孫。家業の継承をめぐる争いの中心に置かれ、ローガンに守られます。ただ守られるだけで終わらず、結末では自分の道を選ぶ人物です。

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ユキオ(福島リラ)

赤い髪のユキオ
ユキオ。出典:『ウルヴァリン:SAMURAI』 ©20th Century Studios

ローガンを日本へ導き、マリコの救出にも協力します。危険を察知する力を持ち、ローガンと最後まで行動をともにする頼もしい相棒です。

矢志田市朗(ハル・ヤマノウチ)

矢志田市朗
矢志田市朗。出典:『ウルヴァリン:SAMURAI』 ©20th Century Studios

長崎でローガンに救われた実業家。表向きは恩返しとして「死ねる人生」を提案しますが、その裏には自らの延命という目的があります。善意に見えた提案が支配へ反転する人物です。

『ウルヴァリン:SAMURAI』の小ネタ・関連作品

ローガンの能力は永久に消えたわけではない

治癒能力が弱まるのは、身体に仕込まれた装置が原因です。装置を取り除いた後は力が戻ります。一方、金属の爪を失ったことは別の出来事。能力と装備の変化を分けると、終盤が分かりやすくなります。

ジーンの幻影は、ローガンの罪悪感と喪失を映す

ローガンの前に現れるジーンは、単なる過去作紹介ではありません。彼がまだ自分を許していないことを見せています。矢志田の「死ねるようにする」という提案が彼の心に迫るのも、この喪失があるからです。

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シリーズ内の位置は『ファイナル ディシジョン』後

『X-MEN ZERO』はローガンの過去、『SAMURAI』はジーンを失った後の物語です。公開順と物語内の順番は同じではありません。X-MEN映画の見る順番とウルヴァリン人物解説を併せて読むと、ローガンの変化を追いやすくなります。

エンドクレジットは次の大きな戦いへの橋渡し

物語の後、ローガンはマグニートーとチャールズに再会します。二人は人間側が作る兵器への警戒を伝え、物語は『X-MEN:フューチャー&パスト』へつながります。本編の矢志田家の争いと、シリーズ全体の危機をつなぐ場面です。チャールズがどう戻ったかなど、細部は別作品の描写と字幕を確認してから追記します。

治癒能力を弱める演出が、ローガンの何を変える?

これまでなら立ち上がれた傷を、本作では引きずったまま次の場面へ進みます。戦闘のたびに無敵の安心感が薄れ、マリコを守る選択にも重さが生まれる。能力の低下は単なる敵の仕掛けではなく、ローガンの心を観客へ近づける見せ方になっています。

一方、矢志田は死を避けるために他人の身体を利用します。死を望むローガンと、生にしがみつく矢志田。この二人を最後に向き合わせる構成によって、「不死」は祝福にも呪いにも見えるのです。ローガンが勝つだけでなく、自分の命をどう使うかを決め直すところに結末の意味があります。

まとめ

  • 矢志田はローガンの治癒能力を奪い、自分の命を延ばそうとしていました。
  • ローガンの能力低下は体内の装置によるもの。金属の爪の喪失とは別です。
  • マリコを守る戦いを経て、ローガンは生きる理由を取り戻していきます。

不死身に見えるローガンの弱さを、肉体と心の両方から描いた一作です。だからこそ、矢志田の「死ねるようにしてやる」という言葉が、ただの悪役の誘惑では終わらないのですね。

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