インカージョンとは?『ロキ』から『ドゥームズデイ』までMCUの世界衝突を解説
インカージョンとは、異なる2つのユニバースが衝突し、一方または両方の世界が滅びる現象です。
MCUでは『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』で詳しく説明されました。さらに『アベンジャーズ/エンドゲーム:アンコール』では、TVAが複数のインカージョンを検知。ひとつの世界で起きる事故ではなく、マルチバース全体の危機へ拡大しています。
では、ドラマ『ロキ』で時間軸が分岐したことが、インカージョンの原因なのでしょうか。
この記事では、分岐時間軸や剪定との違い、『ロキ』で語られた多元宇宙戦争、MCUで確認されたインカージョンを順番に整理します。後半では、『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』と『シークレット・ウォーズ』へのつながりも考えます。
※この記事は『ロキ』シーズン1・2、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』『デッドプール&ウルヴァリン』『アベンジャーズ/エンドゲーム:アンコール』のネタバレを含みます。
インカージョンとは、異なるユニバース同士の衝突
インカージョンは、別々に存在していた2つのユニバースが接近し、境界を越えて衝突する現象です。
Marvel公式は『マルチバース・オブ・マッドネス』の解説で、別宇宙への干渉によってインカージョンが発生し、一方または両方の宇宙が完全に破壊される危険があると説明しています。
ここでポイントになるのは、地球だけの事故ではないことです。世界を構成する宇宙そのものが衝突するため、被害を受けるのは街や惑星にとどまりません。
また、マルチバースが存在するだけで、必ずインカージョンが起きるわけでもありません。異なる世界への大きな干渉や、世界同士の境界が崩れることによって、衝突の危険が生まれます。
分岐時間軸とインカージョンは同じではない
『ロキ』には、分岐時間軸、剪定、時間織り機など、世界の消滅に関わる用語が複数登場します。しかし、これらはインカージョンと同じ現象ではありません。
| 用語 | 意味 | インカージョンとの違い |
|---|---|---|
| マルチバース | 異なる歴史や人物を持つ複数世界の集合 | 複数世界が存在する状態そのもの |
| 分岐時間軸 | 選択や出来事をきっかけに、本来の流れから枝分かれした歴史 | 分岐しただけでは世界同士は衝突しない |
| 剪定 | TVAが分岐を消し、人物や物を虚無空間へ送る処理 | TVAが意図的に時間軸を排除する |
| 時間織り機 | 時間エネルギーを処理し、神聖時間軸以外を消す安全装置 | 衝突ではなく、分岐を残さない仕組み |
| インカージョン | 異なるユニバース同士が接近・衝突する現象 | 一方または両方の宇宙が滅びる可能性がある |
| アンカー・ビーイングの喪失 | 世界の存続と結びついた人物を失い、その世界が衰退する現象 | 別世界との衝突を必要としない |
つまり、『ロキ』で時間軸が枝分かれした場面は、インカージョンそのものではありません。複数の世界が存在できるようになったことで、接触や衝突が起こり得る状態になったと考えるのが近いでしょう。
『ロキ』では過去の多元宇宙戦争が語られている
ドラマ『ロキ』は、インカージョンという言葉を前面には出していません。しかし、複数のユニバースが接触した結果、世界同士の戦争が起きた過去を詳しく描いています。
第1話でミス・ミニッツが世界同士の戦争を説明
『ロキ』シーズン1第1話で、ミス・ミニッツはTVAと神聖時間軸の成り立ちを説明します。
かつて無数の時間軸が存在し、それぞれの世界が接触したことで多元宇宙戦争が発生しました。このままではすべてが滅びかねないため、時間の流れをひとつにまとめたというのがTVA側の説明です。
後にタイムキーパーが偽物だったと判明するため、この説明のすべてが事実ではありません。それでも、複数世界による戦争が起きたこと自体は、第6話で在り続ける者の口から改めて語られます。
在り続ける者の変異体が別宇宙を発見した
シーズン1第6話で、在り続ける者は多元宇宙戦争の真相を明かします。
31世紀に生きていた彼の変異体は、複数の宇宙が重なり合って存在していることを発見しました。別の宇宙にも同じ発見をした変異体がおり、最初は互いの知識や技術を交換していたといいます。
ところが、すべての変異体が平和を望んだわけではありません。他の宇宙を征服しようとする者が現れ、それぞれが自分の世界を守るために相手の世界を滅ぼそうとしました。
劇中では、この戦争をインカージョンとは呼んでいません。ただし、「複数の世界が接触し、自分たちが生き残るために相手を滅ぼす」という構造は、インカージョンが生む対立と重なります。
在り続ける者は、時空を食べるアライオスの力を使い、他の宇宙や時間軸を切り離しました。さらにTVAを作り、神聖時間軸から生まれる分岐を剪定させます。
彼が選んだ解決策は、複数世界を安全に共存させることではありません。戦争につながる可能性のある世界を、最初から存在させないことでした。
TVAは時間の秩序を守っていた一方で、無数の世界と、そこで生きる人々の可能性を消していたわけです。
シルヴィが時間軸を解放し、複数世界が戻ってくる
在り続ける者は、ロキとシルヴィに2つの道を示します。
ひとつは、自分の後継者となってTVAと神聖時間軸を管理する道。もうひとつは、彼を殺して時間軸を解放し、再び多元宇宙戦争が起きる危険を受け入れる道です。
シルヴィは復讐を選び、在り続ける者を殺しました。すると神聖時間軸は無数に分岐し、TVAでも止められない数の世界が生まれ始めます。
ここでシルヴィが直接インカージョンを発生させたとは、劇中で説明されていません。起きたのは、在り続ける者によって抑え込まれていた複数の時間軸が、再び存在できるようになったことです。
それでも、世界がひとつしか存在しない状態なら、世界同士の衝突も起こりません。シルヴィの選択は、インカージョンが起こり得るマルチバースを取り戻したと言えます。
ロキはインカージョンを止めたのか、起こしたのか
シーズン2では、増え続ける分岐時間軸に時間織り機が耐えられなくなります。ロキたちは織り機を拡張しようとしますが、そこで明かされたのが装置の本当の役割でした。
時間織り機は、単に時間軸を整理する機械ではありません。神聖時間軸以外を消し、在り続ける者の支配を維持するための安全装置です。
すべての時間軸を生かしたまま、織り機だけを直すことはできません。そこでロキは時間織り機を破壊し、自ら無数の時間軸を束ねます。
ロキが選んだのは、危険があっても世界を残す道
在り続ける者は、マルチバース戦争を防ぐために、神聖時間軸以外を消しました。一方のロキは、世界同士が争う可能性があっても、それぞれの世界に生きる自由を残します。
したがって、ロキを「インカージョンを起こした人物」と断定することはできません。ロキはむしろ、消滅しかけた分岐時間軸を救い、現在も支えている存在です。
ただし、ロキが守っているのは、衝突の可能性を持つ無数の世界でもあります。世界を消さずに残したまま、インカージョンと多元宇宙戦争をどう防ぐのか。これが『ドゥームズデイ』へ残された問題のひとつです。
MCUでインカージョンが描かれた作品
MCUでは、マルチバースを移動する場面が何度も登場しています。ただし、別世界が登場したからといって、すべてをインカージョンと呼ぶことはできません。
『マルチバース・オブ・マッドネス』で初めて詳しく説明
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』では、アース838のリード・リチャーズがインカージョンを説明します。
アース838のストレンジは、別宇宙の自分へ乗り移るドリームウォークを繰り返しました。その干渉によってインカージョンが発生し、別の宇宙が滅びたとされています。
アース616のストレンジとクリスティーンがたどり着いた世界も、すでにインカージョンによって崩壊の途中でした。建物や道路は壊れ、世界全体が不安定な状態になっています。
さらにエンドクレジットでは、クレアがストレンジの前に現れ、彼がインカージョンを引き起こしたと告げます。ここでインカージョンは、今後も続く問題として残されました。
『ノー・ウェイ・ホーム』の世界越境はインカージョンなのか
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、魔術の失敗によって別世界のピーター・パーカーやヴィランがアース616へ集まりました。
しかし、劇中ではこの事件をインカージョンとは呼んでいません。最後は全員が元の世界へ戻り、宇宙同士の衝突も確認されませんでした。
別世界の人物が移動することは、インカージョンの危険につながる可能性があります。それでも、「別世界から来た人物がいる=インカージョン」とは限らない点に注意が必要です。
『ザ・マーベルズ』では別世界への裂け目が開いた
『マーベルズ』では、ダー・ベンの行動によって現実の境界に穴が開きます。モニカ・ランボーは裂け目を閉じるために力を使い、そのまま別のユニバースへ取り残されました。
この場面も、世界同士の接触が進んでいることを示します。ただし、本編ではインカージョンという言葉を使っていないため、確認済みのインカージョンとして断定せず、関連する異変として扱うのが適切です。
アンカー・ビーイングによる世界消滅は別の現象
『デッドプール&ウルヴァリン』では、アース10005のアンカー・ビーイングだったローガンが死亡し、世界が徐々に衰退していると説明されます。
こちらは別のユニバースと衝突したわけではありません。中心人物を失ったことで、その世界自体が内側から弱っていく現象です。
TVAが登場し、世界が消滅するという点は似ていますが、インカージョンとは原因が異なります。
『エンドゲーム:アンコール』でインカージョンが大量発生
『アベンジャーズ/エンドゲーム:アンコール』の追加映像では、『ロキ』シーズン2後と考えられるTVAが登場します。
TVAは以前のように、分岐した時間軸を見つけ次第剪定する組織ではありません。それぞれの世界を存続させながら、危険な異変を監視しています。
ところが、TVAの画面にインカージョンの発生が表示されます。異常はひとつにとどまらず、複数の世界へ広がり、その数は数千件規模まで増加しました。
『マルチバース・オブ・マッドネス』では、一人の人物による別世界への干渉が、ひとつのインカージョンにつながりました。アンコール版で描かれたのは、それとは規模が違う連鎖的な崩壊です。
ここで、インカージョンは『ドクター・ストレンジ』周辺の問題から、マルチバース全体を巻き込むアベンジャーズ級の危機へ変わったと言えます。
なぜ数千件のインカージョンが起きた?
アンコール版の追加映像では、インカージョンが急増した直接の原因までは明かされません。
現時点で確認できるのは、次の事実です。
- ロキが無数の分岐時間軸を存続させている
- TVAは時間軸を剪定せず、マルチバースを監視している
- MCUでは別世界への移動や干渉が繰り返されている
- アンコール版で複数のインカージョンが同時に発生した
- 同じ追加映像群で、ドクター・ドゥームがブルース・バナーを連れ去った
この並びから、ドゥームと大量のインカージョンに関係がある可能性は考えられます。しかし、ドゥームがインカージョンを発生させたのか、別の目的で危機を利用しようとしているのかは不明です。
また、ロキがすべての時間軸を残したことと、大量発生の直接的な因果関係も説明されていません。
「世界が増えたからインカージョンが起きた」と単純に決めるのではなく、誰が、どのような干渉を行ったのかを『ドゥームズデイ』で確認する必要があります。
原作『シークレット・ウォーズ』では世界同士の衝突が連鎖
原作コミックでは、2015年版『シークレット・ウォーズ』へ向かう『ニュー・アベンジャーズ』で、インカージョンが物語の中心になります。
アース616をはじめとする複数の地球が、次々と衝突する危機に見舞われました。衝突を止められなければ両方の世界が滅びます。一方を救うには、衝突する相手側の地球を先に破壊しなければならない。ヒーローたちは、そんな選択を迫られました。
最後に残ったアース616とアース1610も衝突し、マルチバースは崩壊します。ドクター・ドゥームは残された世界の断片を集め、ひとつの世界「バトルワールド」を作りました。
ただし、MCU版でバトルワールドが登場することや、ドゥームが原作と同じ役割を担うことは、現時点では公式発表されていません。
原作から確認できるのは、インカージョンが単なる自然災害ではないことです。どちらの世界を残すのか、誰が世界を作り直すのかという、ヒーローたちの選択につながる現象なのです。
『ドゥームズデイ』ではロキとドゥームが対立する?
『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』で、ロキとドクター・ドゥームがインカージョンへどう関わるのかは、まだ明かされていません。
ただし、2人は世界の存続に対して対照的な立場にいます。
ロキは、自分を犠牲にして無数の時間軸を支えました。それぞれの世界に生きる人々が、自由に選択できる未来を残すためです。
原作のドゥームは、崩壊した世界の断片を救った一方、自らが神として支配するバトルワールドを作りました。世界を守るために自由を残すロキと、世界を救って支配するドゥーム。この対立がMCUでも使われるなら、2人は思想の面でも向き合うことになります。
もっとも、これは原作と現在のMCU設定を踏まえた考察です。ドゥームがロキの力を狙うことや、ロキがインカージョンを止めることは公式発表されていません。
インカージョンを理解するために見るべき作品
すべてのマルチバース作品を見る必要はありません。インカージョンの成り立ちから現在までを追うなら、次の順番がわかりやすいです。
- ドラマ『ロキ』シーズン1
- 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
- 『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』
- ドラマ『ロキ』シーズン2
- 『ザ・マーベルズ』
- 『デッドプール&ウルヴァリン』
- 『アベンジャーズ/エンドゲーム:アンコール』
用語だけを押さえるなら、『ロキ』シーズン1・2と『マルチバース・オブ・マッドネス』が最優先です。そこへアンコール版を加えると、マルチバースの誕生、インカージョンの仕組み、大量発生した現在までつながります。
インカージョンに関するよくある質問
インカージョンとマルチバースの違いは?
マルチバースは、異なる複数の世界が存在する状態です。インカージョンは、その世界同士が接近・衝突し、一方または両方が滅びる現象を指します。
『ロキ』でインカージョンは起きた?
『ロキ』では、インカージョンという名称の現象は確認されていません。ただし、過去の多元宇宙戦争、複数世界を抑えていたTVA、時間軸の解放と再構築が描かれています。インカージョンが起こり得る現在のマルチバースを理解するうえで、最も重要な作品のひとつです。
シルヴィがインカージョンを起こしたの?
シルヴィが在り続ける者を殺したことで、神聖時間軸は無数に分岐しました。しかし、その行動が特定のインカージョンを直接発生させたとは説明されていません。
ロキが時間織り機を壊したことが原因?
時間織り機を破壊したロキは、消滅しかけた分岐時間軸を自ら支えました。ロキの行動と、アンコール版での大量発生を直接結びつける公式説明はありません。
ドクター・ドゥームがインカージョンを起こした?
MCU版ドクター・ドゥームがインカージョンを起こしたかは不明です。アンコール版ではドゥームの行動と大量発生が同じ追加映像群で描かれましたが、両者の因果関係は明かされていません。
まとめ
- インカージョンは、異なるユニバース同士が衝突し、一方または両方が滅びる現象
- 分岐時間軸、TVAの剪定、アンカー・ビーイングの喪失とは別の仕組み
- 『ロキ』では、過去の多元宇宙戦争と、それを防ぐために複数世界を消していたTVAの真相が描かれた
- ロキはインカージョンを起こしたのではなく、危険があっても無数の時間軸を残す道を選んだ
- 『エンドゲーム:アンコール』ではインカージョンが数千件規模へ拡大した
- ドゥームが原因なのか、『ドゥームズデイ』で何が起きるのかは未発表
在り続ける者は、ほかの世界を消すことで衝突を防ぎました。ロキは、自分が孤独を引き受けても、すべての世界を残そうとします。
『エンドゲーム:アンコール』で始まった大量のインカージョンは、その選択の先に現れた危機です。世界を消さずに、世界同士の衝突を止められるのか。『ドゥームズデイ』では、ロキが守った自由そのものが試されるのかもしれません。
公式情報・参考資料
- Marvel公式:『マルチバース・オブ・マッドネス』のドリームウォークとインカージョン
- Marvel公式:『ロキ』シーズン1第6話イベントレポート
- Marvel公式:『ロキ』シーズン2のロキとTVA
- Marvel公式:『ロキ』シーズン2第6話のロキとメビウス
- マーベル公式:『エンドゲーム:アンコール』日本公開情報
- マーベル公式:INFINITY VISION版の特別映像
- Marvel公式:歴代『シークレット・ウォーズ』ガイド
- Marvel公式:原作『シークレット・ウォーズ』
最終確認日:2026-09-25
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