映画「X-MEN2」は、1963年に生まれたマーベル・コミック作品の人気シリーズの1つ「X-MEN」の実写映画化第2作目で、2003年に公開されました。元祖アメコミムービーとしての前作に続き、指揮をとったのはブライアン・シンガーです。
ストーリー重視でアクション不足と言われた前作に対し、本作ではミュータントたちが繰り広げる派手なアクションシーンが盛り込まれ、前作を上回るヒット作となりました。
「X-MEN2」あらすじ
ホワイトハウスの室内観光に紛れ、トレンチコートを着て空間を飛び回るミュータント、ナイトクロウラーが出現し、大統領を襲おうとする事件が発生しました。この事件を知ったX-MENたちは「恵まれし子らの学園」に集結し、事件の真相をつかむべく動き始めます。プロフェッサーXはセレブロを使って、ナイトクロウラーの特定を急ぎます。
前作で自身の過去を握る鍵が、カナダのアルカリ湖にあると知らされたウルヴァリンは、アルカリ湖にある廃墟を確認後、学園に戻り、ローグらとの再会を喜びます。
ナイトクロウラーがボストンにいることをつきとめたX-MENは、ストームとジーンが会いに行き、首筋に謎の印を見つけます。どうやら誰かに操られていたらしいことがわかります。
元軍人のストライカーがマグニートーに接触!ミュータントを意のままに操る薬を開発していた
一方、大統領襲撃を受けて、元軍人のウィリアム・ストライカーが大統領にプロフェッサーX率いる学園にジェット機が隠されていたり、ミュータントの陰謀と関係があるという情報を流します。そこにはあれ?前作で死んだはずのケリー上院議員も。変身したミスティークが同席し、マグニートーの所在を探そうと潜り込んでいました。
ストライカーはプラスチック製の監獄にいるマグニートーと接触し、彼の首筋に自身が開発した薬剤を投与し、マグニートーがもつ全ての情報を白状させます。それは、ナイトクロウラーの首筋にある同じ印でした。
ミスティークは変身能力を利用し、ストライカーが管理する機密情報にアクセス、マグニートーの所在地を突き止めます。そしてそこにはなぜか、プロフェッサーXが使うセレブロのデータとともに「セレブロ2」の設計図を見つけてしまいます。
学園は襲撃される。囚われたプロフェッサーX、ストライカーと対面したウルヴァリン
プロフェッサーXはサイクロップスとともにマグニートーの元に。そこでマグニートーがX-MENに関する情報を、全てストライカーに奪われてしまったことを知らされ、ともに閉じ込められてしまいます。
そのころ学園は、ストライカーによる襲撃にあってしまいます。学園で生徒たちと留守番していたウルヴァリンは、ストライカーから「久しぶりだな、15年ぶりか?」と言われ、戸惑いながらもアイスマンたちの助けを得てその場から逃げることに成功します。
しかしストライカーはミュータントの生徒たちの多くを捕まえ、そしてプロフェッサーXも神経阻害装置(ニューラル・インヒビター)を装着され能力を遮断された状態でアルカリ湖底の施設に拘束されていました。そして改造した息子ジェイソンの能力を使い、プロフェッサーXを洗脳しようとします。
マグニートーがウルヴァリンの秘密を明かす。アダマンチウムの骨格はストライカーの実験によるものだった
ウルヴァリンたちはジーンたちを探しにボストンに向かい、途中でアイスマンの実家に立ち寄ります。ところがアイスマンの弟が、学園襲撃事件をテレビで知り110番に通報し、パイロが炎で暴れてしまいます。そこに、ようやく連絡がついたジーンがジェットで合流することになります。
ミスティークはマグニートーのいる監獄の警備員に色仕掛けで近づき、鉄剤を注射し、マグニートーに血液内の鉄分を呼びださせ、脱獄を成功に導きます。マグニートーはプラスティックの監獄から逃げ出し、ジーンたちの乗るジェットを止めます。
マグニートーはジーンにストライカーの正体を教えます。同時に、ウルヴァリンの体の秘密と、ストライカーとの関わりも伝えます。そして建造中のセレブロ2の所在地を、ジーンがナイトクロウラーの記憶を元に突き止めることになります。
ストライカーの目的はダークセレブロでミュータントの撲滅。脱獄したマグニートーは人間を消そうとする
ストライカーの所在とセレブロ2がアルカリ湖にあることを知り、ウルヴァリンが突破口を開くために先乗りします。そこには、記憶の奥底に眠っていたじ場所があります。金属が煮えたぎるプールで、自分の骨格がアダマンチウムに変えられたことを思い出します。そして、その秘密をストライカーから聞かされるとともに、ウルヴァリンと同じアダマンチウムを埋め込まれたデスストライクと戦うことになります。
セレブロ2では洗脳されてしまったプロフェッサーXが、女の子に姿を変えたジェイソンに指示され全てのミュータントを呼び出そうとしていました。そこに、マグニートーがすんでのところで止めに入ります。しかしマグニートーの目的は、逆にプロフェッサーXに人間を呼び出させ念を送り、消滅させることでした。
これまで姿を見せていなかったサイクロップスは、荒れ狂ったようにオプティックブラストを放ち、その能力を制御する意志すら失わされていました。ジーンによって、落ち着きを取り戻しましたが、暴れたことによりダムの壁が破壊寸前となります。
ジーンが強力な念力を発揮!X-MENを救う
マグニートの思惑は、セレブロ2に入り込んだストームとナイトクロウラーがプロフェッサーXの洗脳をといたことで、外れることになります。無事に囚われていた生徒たちを救い出し、全員がジェットで飛び立とうとしますが、ダムの決壊は止められず、同時にジェットのエンジンが壊れ飛び立つことができません。そこでジーンが自らの力でジェットを動かします。
ジーンはそれにより水に飲み込まれ、消えてしまいます。プロフェッサーXは泣き叫ぶサイクロップスに、ジーンの言葉を伝え、ジェットは無事学園へ飛びたちました。
人類に突きつけられた判断、そしてジーンは?
大統領は国民に向け、ミュータントを規制しようとする声明文を発表します。しかしそこにはX-MENの姿が。ストライカーが黒幕であったこと、平和を望むミュータントの存在を告げます。大統領は用意していた声明文を変更します。どうやら人類とミュータントの争いは、落ち着きを取り戻すかのようです。
平和な様子が戻ったかに見える学園では、穏やかな表情を取り戻したプロフェッサーXが生徒たちに小説「永遠の王」について説明します。
穏やか水をたたえたアルカリ湖には、大きな鳥のような影が映り、ストーリーは幕を下ろします。
「X-MEN2」主要キャストと初登場メンバー
ここでは、新たな追加メンバーを中心にご紹介するので、前作に続いてのメンバーは名前のみに留めます。前作からのキャストは以下。
- ウルヴァリン/ローガン(ヒュー・ジャックマン)
- プロフェッサーX/チャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)
- マグニートー/エリック・レーンシャー(イアン・マッケラン)
- ジーン・グレイ(ファムケ・ヤンセン)
- ストーム(ハル・ベリー)
- サイクロップス/スコット・サマーズ(ジェームズ・マースデン)
- セイバートゥース(タイラー・メイン)
- ローグ(アンナ・パキン)
- アイスマン(ショーン・アシュモア)
- ミスティーク(レベッカ・ローミン・ステイモス)
ここからは、初登場キャストのご紹介です。
ナイトクローラー/カート・ワグナー(アラン・カミング)
自分が見えていたり、知っている場所へのテレポートができるミュータント。手足にある吸盤で吸い付き、暗視もできる。瞬間移動の能力を持ち、暗闇の中に溶け込む力も持っています。見た目はまるで悪魔のようにも見えますが、常にロザリオを肌身離さず、信仰心の篤いカトリック教徒で心優しい性格です。父親はアザゼル、母親はミスティークと言います。ん?ミスティーク?どういうことだ?
ウィリアム・ストライカー(ブライアン・コックス)
アメリカ政府の対ミュータント対策本部顧問で軍事科学者。彼自身に特殊能力はないが、元アメリカ軍人としての戦闘経験があり、実はアルカリ湖の軍事施設内の「ウェポンX計画」リーダー。ストライカーの息子はミュータントであり、彼が幻覚を見せ続けたために母親が自殺した過去も。そのために、熱心なミュータント排斥主義者として多くのミュータントを殺害したX-MENの宿敵の一人となったのです。
ジェイソン(マイケル・リード・マッケイ)
ストライカーの息子でミュータント。人の思考に入り込むことができ、幻覚を見せることのできる能力を持ちます。かつて学園の生徒でもありました。ストライカーは彼を兵器の1つのように扱い、かつ兵器として利用するための手術も施し済みです。そのために「ミュータント143号」と呼びます、切ないぞ。オリジナルキャラですが、その能力はマスターマインドがモデルと言われています。
デスストライク/ユリコ(ケリー・ヒュー)
ストライカーの秘書であり、用心棒。ウルヴァリンと同じ金属アダマンチウムの骨格もちます。ですが彼女はもともとミュータントではなく、一度命の危機を迎えたことで、サイボーグの体とアダマンチウムの骨格、同時に回復能力を手に入れます。アダマンチウムと骨の結合方法を生み出した研究者である父ケンジ・オーヤマの遺志を継ごうとする使命感の持ち主ですが、そういうニュアンスは本作では描かれてはいません。日本人で大阪出身らしい。
マッケナ大統領(コッター・スミス)
本作冒頭でいきなり命を狙われてしまう大統領。あんまり存在感もないのですが、襲われたことで、つい弱気になってストライカーに政府の権威を与えてしまう、やっちゃいけないことやっちゃった人ですね。ラストではミュータントをむやみに規制することは思い止まってはいたようですが…。
パイロ(アーロン・スタンフォード)
炎を自在に操ることができるミュータントで、学園の生徒。でも発火能力そのものは持ち合わせていません。ですから、ライターなどで炎を作ってからが、力の見せ所です。火と水の関係?のように、アイスマンの温厚な正確に過敏な反応も。そんなやや反抗的な性格もあり、ブラザーフッドに魅力を感じるようになり次作ではメンバーに。前作ではアレックス・バートンが演じていました。
コロッサス(ダニエル・クドモア)
体の表面をオムニウムという生体金属の鎧で覆うことができる能力を持つミュータントで、学園の生徒。前作ではカメオ出演していました。ウルヴァリンとの連携技“ファストボール・スペシャル”は、本作では見られませんでしたが、次作で見られる模様ですよ!
ガンビット
出番はほぼないのですが、人気なキャラなので一応。待ってました、ガンビット!とはいえ、ストライカーのデータベースに「レミー・ルボー」という名前のみ登場、チェッ。手にした物体にエネルギーをチャージことができきる能力をもつミュータントで。主にトランプに込めて投げます。本名の「ルボー」はフランス語で「ハンサム」の意味なのでかなりイケてる風貌です。
その他、チラ見せキャラをいくつか。
- アーティ:学園の生徒で、頭に思い浮かべた映像を東映することができる。べろをだす。
- シャドウキャット:学園の生徒で、壁や物体を通り抜けることができる。
- サイリーン:学園の生徒で、超音波を発することができる。
- ビースト:X-MEN初期メンバーでテレビ画面に映った。
「X-MEN2」にまつわる小ネタあれこれ
ウルヴァリンの骨格に結合したアダマンチウムって?
ウルヴァリンの骨格と結合して、全てを切り裂く鋭い爪を生み出した金属アダマンチウム。MCUの世界では、キャプテンアメリカのシールドに使う「ヴィブラニウム」の複製作業中にできちゃった金属とされています。ちなみに「ヴィブラニウム」という鉱石は、ブラックパンサーが治めるワカンダ原産ですよ。アダマンチウムという名前は、「adamant(アダマント)=非常に固いもの」に由来し、ギリシャ神話にも出てきます。そういえば「アダマンタイン」はファイナルファンタジー内の鉱石名にも使われていますね。
アルカリ湖の軍事施設とは?
ウルヴァリンの過去が眠っていたカナダ・ブリティッシュコロンビア州のアルカリ湖の底には、極秘の軍事施設が存在していました。ここはウィリアム・ストライカーがリーダーをつとめた「ウェポンX計画」が進められていた場所。ウルヴァリンに起こったことだけでなく、他に何があったのかは続く作品やウルヴァリンに焦点を当てたスピンオフシリーズで明らかになります。ちなみにこの「ウェポンX計画」はカナダの計画で「超人開発計画」と言われています。また、ウェポンXとは10番目の計画であり、実は初代はキャプテンアメリカというネタも。
ウィリアム・ストライカーとウルヴァリンの因縁とは?
ウィリアム・ストライカーがウルヴァリンに対して見せる表情や口にするセリフからは、どうやら最近知り合った間柄ではなさそうなことが読み取れます。それもそのはず、ストライカーは前述「ウェポンX計画」リーダーで、ウルヴァリンが今の姿になるまでは実は同士的存在でした。そして彼に注入したアダマンチウムの秘密も握っているのです。今後は「ウルヴァリン:X-men ZERO」でも余すところなく存在感を出す。新三部作「ファーストジェネレーション」では父親も登場します。
各キャラクターの超人パワー発揮されまくりの「お祭り状態」、発売前の車も登場?
前述しましたが、前作はヒットしたものの、ミュータントの持つ力を見せる見せ場が少ないとの批判がああったブライアン・シンガー監督が、本作も指揮をとりました。そのストレスを発散したのか?もともとそのつもりだったのか?存分にミュータントたちのバトルを描き切ったという評価を得られています。また、発売前のマツダRX-8も登場するというカーマニア向けサービスもありました。
原作は重鎮クリス・クレアモントの描いた「God loves,Man kills」
ウィリアム・ストライカーが敵となる「X-MEN」の本作は、1982年のグラフィックノベル「Gods loves,Man kills」がベースとなっていると言われています。この作品の中で、ウィリアムストライカーはテレビ宣教師であり、ミュータントを憎むようになった理由も詳細に描かれています。この原作を描いたX-MENのストーリー・スタッフであるクリス・クレアモントは、ウルヴァリンを人気キャラへと作り上げた功労者でもあります。
デッドプールとの行き来はアリ。制作会社のご都合でして…
MCUとは距離を置かれていたX-MENシリーズは当時、「デッドプール」と同じ20世紀FOX製作でした。ですから、X-MENシリーズは他のマーベル作品に入り込むことが難しいと言われていますが、唯一「デッドプール」は可能でした。本作登場のコロッサスは「デッドプール」の主要キャラとして登場し、デッドプールは「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」でも登場するのです。
「永遠の王」が象徴する、この世界が抱える課題とは?
小説「永遠の王」は、本作の冒頭だけでなく、エンディングでも用いられています。終盤にプロフェッサーXが学園の子どもたちに「永遠の王」の解釈を説明しており、マグニートーも監獄で「永遠の王」を読んでいます。「平和な世界を築くために“戦う”」という矛盾した問題を抱えた作品を2人が愛読していることは、あい通ずる考えも持ちつつ、対決せねばならない運命を抱えていることになります。
まとめ!本作品の見どころ、大事なポイント
- ジーンに秘められた、無敵?とも思えるパワーは、今後どうなる?最後の湖の影は、鳥の翼=フェニックス?
- アダマンチウムは、ウェポンX計画の存在をより明確にし、マーベルとしてのつながりもちらほらと見える
- ミュータントは団結する?しかし、人類の対立は終わらない?
ジーンの力は強大でしたね、プロフェッサーXの右腕なだけあります。次作以降もジーンがX-Menやミュータント存続の鍵を握ることになり、彼女の中に封じ込められた「フェニックス」という名の人格が持つパワーが世界に大きな影響を与えることになることを予想させます。
ウルヴァリンは、自身に組み込まれたアダマンチウムの謎がわかった上で、ウェポンX計画の存在をより掘り下げていくこととなるでしょう。それもそのはず、ミュータントの力を利用しようと目論む人類の存在が明らかになり、ストライカーは今回その代表格です。
プロフェッサーXとマグニートーが読む「永遠の王」は深い話です。「平和な世界を築くために“戦う”」という矛盾した問題を抱えた作品だからです。二人が同じものを読み、子供にも伝えていることは、今後もこの大きな問題は続いていくであろうことを示唆しています。
続く3作目「X-MEN ファイナルデシジョン」に備え、このネタを手に本作を満喫して、X-MENの世界を楽しんでくださいね!
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