「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」は、MCU入りしたスパイダーマン作品の3作目。
ノー・ウェイ・ホームは、直訳すると「家への帰り道がない」となり、スパイディが帰る家を失い、新しい道を歩んでいくことを示唆しているようです。
本作は、ドクター・オクトパスなど、MCU作品ではない過去のスパイディシリーズで登場した俳優が、そのまま出演するというサプライズがありました。一方で、このキャラクターはどのシリーズに登場しているかがわかりにくかったり、過去のスパイディシリーズをみていないと理解できないシーンがあったと思います。
また、関連性はまだ低そうな気配はありますが、シャンチー、ホークアイ、の伏線もちらほら登場しています。
ここでは、ネタバレのあらすじ解説だけでなく、
- 伏線回収の解説
- 本編に登場したキャラクター
- マルチバースについて
など、映画「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」の、一度見ただけでは理解できない設定やシーンについても、解説していきます。
「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」あらすじ
前作でピーターを騙して偽ヒーロー、ミステリオの置き土産で、ニューヨークはおろか世界は、ピーター・パーカーがスパイダーマンであることを知り、かつ彼がミステリオを殺害したというデマで大騒ぎとなってしまいました。
ピーターはDODC(ダメージ・コントロール局)によって拘束され尋問を受けます。しかし、盲目の弁護士マット・マードックの力によって、裁判に勝つことができたものの、ミステリオが使っていたはずのドローンがスターク社のものであり、それらもピーターの所有と誤解されてしまっていました。自宅の窓にはレンガが投げ込まれたり、学校でも好奇の目にさらされ続けます。
恋人のMJと親友ネッドは、そんなピーターを支えようと、同じ大学進学を目指します。ですが、それすらも「先般の事情により入学は認められない」と志望した大学全てから門前払いされます。「スパイダーマンの友達だからダメだった」とこぼすネッドに、胸を痛めるピーターは、この現実をなんとかしたい、とある人物のもとを訪ねるのです。
失敗した現実改変。見知らぬ別世界のヴィランがなだれ込んでくる
ピーターは、同じニューヨークにあるサンクタム・サンクトラムを訪ねます。サンクタム内部は、シベリアとゲートウェイが繋がったことで雪景色でした。「5年も留守にしてたから」と仏頂面のスティーブン・ストレンジに、ピーターは「過去に戻して欲しい」と頼み込みます。タイムストーンはすでにないものの、スティーブンは「記憶を消す方法がある」と提案をしてきました。
「カフカルの魔法陣」を使うことで、ピーターの望みは叶えられそうです。「危険だぞ」と止めようとするウォンですが、サンクタムのメンテナンスで忙しいのか、そこまで構う様子はなく、すんなりとスティーブンとピーターは地下室で魔法陣の実行に着手します。しかし、記憶を残しておきたい人がいる必要に気づいたピーターは、魔法の実行中に口を出してしまったことで「魔術が暴走した」状態にさせてしまいます。
結局事態が収集しないまま、スティーブンから「魔法よりも、なんで大学に直訴しにいかないんだ」と諭されたピーターは、クラスメートのフラッシュに頼み込んでMITの関係者にと出会うチャンスを探します。そして空港に車で移動中と知り、高速道路を追いかけていきます。そこで金属のアームをつけた人物が、ピーターに襲いかかります。彼はピーターの名前を呼びますが、ピーターは身に覚えがありません。それもそのはず、彼は別次元のスパイダーマンに敗れたヴィラン、ドック・オクだったからでした。
スパイディの正体を知るヴィランたちが、間違ってマルチバースから集結
車が蹴散らされていく高速道路には、これまた別の世界から来たグリーン・ゴブリンが緑色の爆弾も投げこんで来ました。川に落ちるMIT関係者の車を救い、ドック・オクの金属アームをスパイダースーツとペアリングして能力を奪うことに成功しますが、グリーン・ゴブリンを取り逃してしまいます。
スティーブン・ストレンジによれば、魔法陣は実行されていないものの、スパイディの正体を知っていて欲しい人を除いて、記憶を消したいというピーターの要望によって、別の世界=マルチバースから、正体を知っている人物たちが呼び集められてしまったとのことでした。「回収しなければならない」と、サンクタムの地下に牢を作り、現実に解き放たれたヴィランたちを捕まえる任務が、ピーターに託されました。
ピーターは、MJとネッドをサンクタムに招き、協力を仰ぎます。ヴィランらしい情報をネットで追いかけ、郊外の軍事研究施設での目撃情報をつてに、確保に向かいます。そこに別のヴィラン、エレクトロとサンドマンも現れましたが、グリーンゴブリンだけはいません。彼は二重人格に苦しんでおり、メイおばさんの支援施設に相談に訪れていました。そこにピーターが向かい、サンクタムにヴィランが集まりました。
元の世界に返せばスパイディに殺されるヴィランたち。スパイディの選択は?
ヴィランたちは知り合いでもあい、互いに自分たちの状況を情報交換し始めました。「死んでいたはずでは?」とドック・オクに問われるグリーンゴブリンは、死ぬ直前までの記憶しかありませんでした。しかしそれはドック・オクも同じで、みなスパイディと戦っている途中からこの世界に来ていたのです。
暴走した魔法陣を回収したスティーブンが、魔法陣を閉じ込めたボックスを手に戻ってきました。そして送り返そうと魔法を実行するためのボタンを押そうとした瞬間、ピーターは「送り返したら死んでしまう」と制止し、ボックスを奪って逃亡を図ります。そしてミラーディメンションで、追いかけたスティーブンを閉じ込めてしまいます。
ピーターは、元の世界に戻す前に、彼らがヴィランになる前の状態に戻したい=治療したいと考えていたのでした。それは、メイおばさんが「自分のために?人のために?」と今回の計画が、結果的にヴィランたちの命を奪う事になることを咎めたことがひっかかっていたからでした。
メイおばさんの死に絶望するピーター。ヴィランの暴走を止めるのは“兄弟”たち
ヴィランたちを、避難先のハッピー・ホーガン宅に招き入れたピーターは、彼らと協力して彼らをもとに戻す方法を研究し、ドック・オクを元に戻すことに成功しました。エレクトロにも装置を取り付け、治療は順調に進んでいるかに見えました。しかし、ピーターの“ムズムズ”が、ある事実を明らかにしてしまいます。
それは、協力的だったはずのグリーンゴブリンが、実は悪意を隠していたことでした。「これは呪いでなくギフトだ」と治療を拒否します。エレクトロもその言葉に、治療装置を外し暴れ始めました。ピーターは阻止しようとしますが、1人では太刀打ちできず、メイおばさんが巻き込まれ死んでしまいます。
「送り返しておけばよかった」と悔やむピーターのもとに、MJとネッドが現れました。一緒に連れてきたのは、スパイダースーツを着た2人の“スパイダーマン”でした。スパイディの正体を知るのは、ヴィランだけでなく別世界のスパイディ自身も同様で、この世界に呼ばれてきていたのをMJたちが見つけたのでした。「全員を治すことが僕らの仕事だ」と力を合わせて、治療計画の続行を誓います。
「3人のピーター」が自由の女神でヴィランたちと激突。どうなるマルチバース
ピーター“たち”は科学者の卵だけあって、解毒剤などの治療薬完成に時間は要しませんでした。準備が整い、3人は、工事中の自由の女神でヴィランを誘き寄せようと待ちます。ソロ活動がメインだったピーター2とピーター3に「僕はアベンジャーズにいたからチームの戦いがわかる」と講釈しますが「へぇ、バンド?すげえな」と返されてしまいます。
戦いには苦戦しますが、途中でドック・オクが加勢し、無事に全員をもとに戻すことに成功します。ピーターは、メイおばさんを殺したも同然のグリーンゴブリンに怒りを隠しませんでしたが、初志貫徹で解毒剤を投与し、元のノーマン・オズボーンに戻します。そこにスティーブンも合流しました。
スティーブンによって、ヴィランたちや2人のスパイディも元の世界へと消えていきました。しかし、魔法が閉じ込められたボックスが、グリーンゴブリンの爆弾によって異常をきたし、マルチバースの暴走が始まりました。最初の魔法陣同様、全ての人からピーターがスパイディであるとの記憶を消さなければ、世界が崩壊してしまうのです。決意を固めたピーターは、MJとネッドに再会の約束をし、スティーブンの魔法は実行されたのでした。
MJとネッドと離れたピーター。親愛なる隣人の活動は続いていく
ピーターの記憶は、世界から消されました。デイリービューグルは、相変わらずスパイディの正体探しに躍起になっています。
ピーターは大学受験のための準備をしながら、一人暮らしを始めます。MJが働くコーヒーショップにはネッドもいました。2人はMIT進学が決まっていました。何度も正体を明かそうとするピーターでしたが、何かを悟ったかのような表情で、取りやめます。
メイおばさんが眠る墓で、ピーターはハッピーと遭遇します。「彼らを失った時以来の喪失感だ」と語るハッピーの横で、「意志は引き継がれる」とピーターは決意を新たにします。ピーターの新しい部屋には、かつて、ネッドと一緒に作ったスターウォーズ・デススターセットがありました。そしてミシンで縫ったスパイダースーツを着て、クリスマスムードに湧くニューヨークの街に飛び出していきました。
ミッドクレジット:エディも呼ばれていた。マルチバースがスパイディ作品を融合
ミッドクレジットでは、メキシコと書かれたキャップを被ったエディ・ブロックが、ヴェノムと一緒に、バーで店員と話をしています。「この世界には大金持ちとブリキ、あと緑の…」と自分の世界にはなかった存在、そしてサノスの指パッチンがあった話をしています。
「だったら、ニューヨークに行って、スパイダーマンに話を聞きにいこうか」と席を立つエディと、「酔っ払った!」と体内で暴れるヴェノムですが、その瞬間に姿が消えてしまいます。それがスティーブンの魔法が実行されたタイミングだったようです。カウンターには一滴、ヴェノムの一部が残されました。
エンドクレジット:ワンダに助けを求めるドクター・ストレンジ。脅威は自分?
エンドクレジットでは、スティーブンが今回の魔法陣を用いたことで、責められています。「まさかこんなことになるとは」と何かを悔いながら、ワンダの元を訪ねていきます。「私が間違っていた」と、ヴィジョンを再生した一件を咎められると思っていたワンダは一人で暮らしていました。
スティーブンは「そうではない」「助けて欲しい」「マルチバースに詳しいか?」と、ワンダに話します。一方で、スティーブンはもう1人のスティーブンに「脅威はお前だ」と言われているのです。そして「ドクター・ストレンジは帰ってくる」とのクレジットが流れ映画は終わります。
「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」の登場人物
主要キャラクターは、以下の通りです。
スパイダーマン/ピーター・パーカー
トム・ホランドが演じる、MCUのスパイダーマン。ニューヨーク・クイーンズを守る「親愛なる隣人」として活躍しています。エンドゲーム後にはアイアンマンの後継者とも期待されていましたが、前作のヴィランのミステリオによってとんでもない目に。
今作では過去作のスパイディと共闘しながら、自分の道徳心によって引き起こした事態と向き合います。若さゆえに正義感で突っ走りながら苦悩する姿は、まさにスパイディらしいと言えます。
ピーター1/初代スパイダーマン
トビー・マグワイヤが演じるスパイダーマンは、サム・ライミ版のピーター・パーカーでした。ネッドからポータルを通じて召喚されますが、相変わらずの落ち着きっぷり。コートとシャツの下にしっかりスパイダースーツを着込み「ヒーローは宣伝しないもんだ」と、思い切り顔出ししてスーツを着ているピーター3の前で主義を主張します。
メイおばさんを失って絶望するピーターの前で、ベンおじさんがメイおばさんと同じセリフを語っていた思い出を語り、慰めようとしていました。
ピーター2/アメイジングスパイダーマン
アンドリュー・ガーフィールドが演じるスパイダーマンは、マーク・ウェブ版のアメイジングシリーズのピーター・パーカーでした。MJから「本物のピーターを探さないと」と言われ「グサっ」とのけぞるなど、やや自分に自信がなさそうなのは相変わらずでした。
自身は、墜落した恋人グウェン(MJ)を救えなかった過去があり「今も自分を許せない」と傷が癒えていない様子。ですが今作でMJの命を救うことに成功しました。もしかしたら、自身の過去を少しは精算できたのかもしれません。
ミシェル・MJ・ジョーンズ・ワトソン
前作で、ピーターの思いが実り、晴れてスパイディの彼女となったMJは、今作もゼンデイヤが演じました。ですが、いきなりの大ピンチに立たされることになっちゃいました。それでも持ち前の機転を生かして、ネッドとともにピーターを助けようと奮闘しました。
今回で、原作と同じ名前「ワトソン」であることが判明します。DODCの尋問の際に、その前を呼ばれて嫌そうな顔をしていましたけどね。普段は「期待はしたくない」と冷静な彼女ですが、記憶を消されてからは「今回は違う気がする」とMIT進学に胸を膨らませていました。
メイおばさん
ピーターの叔母で育ての親であり、ピーターのことを心から愛しています。メイおばさんは、ホームレス撲滅活動などのチャリティ活動をFEASTという団体で行っており今作でもその博愛精神は健在でした。しかし、それが仇となり、今回のヴィランを助けるだけでなく自身の命を落とすことにもなってしまいました。
「大きな力には大きな責任が伴う」との口癖は、今回ピーター2がベンおじさんを思い出す時にも引用されていました。
ネッド・リーズ
パーカーのクラスメイトで親友。スパイダーマンの正体を知る人物であること、こっそりサポートしている自分を誇らしく思っているがゆえに、ついつい口が軽くなってしまう微笑ましい場面がたくさんありました。
ピーター2とピーター3が登場したことで、「君たちに親友はいるの?」と別世界のスパイディの親友が自分に似ているのか?など自分のオリジンを探ろうとしていました。ピーター2にもハリーという親友がいましたが、父親の死がスパイディであることでヴィラン化してしまっています。原作でもネッドは3代目ホフゴブリンというヴィランになっています。。
シニスターシックスたち
◆ドック・オク/オットー・オクタビアヌス
映画ではサム・ライミ版「スパイダーマン2」で登場し、アルフレッド・モリーナが演じています。事故によって自身の体に4本の金属アームを埋め込んでいましたが、そのアームの制御が狂ったことよって人格を支配されスパイディに敵対していました。
今作では、そのアームの制御パーツをピーターに作ってもらったことで、元のオットーに戻ります。その後、治療を拒む他メンバーとスパイディたちの戦闘にも加勢しました。原作ではメイおばさんと婚約したり、スパイディの命を救うなど、実はちょいちょい悪さが薄まっている存在なんですよね。「水飲む?塩水?」とメイおばさんに聞かれてムッとしてましたね。
◆グリーンゴブリン/ノーマン・オズボーン
親子でグリーンゴブリンを務めるという”世襲制”キャラのお父さん。ウィレム・デフォーが演じています。グリーンゴブリンは、サム・ライミ版/マークウェブ版ともに登場しています。オズコープ社のCEOであり科学者で、息子のハリーの死の原因がピーターにあると考えたことで心身ともに自身を武装化して、ヴィランとなりました。そのため、二面性のある性格を持っています。
今作では、彼の武器パンプキンボムは、スティーブンが閉じ込めたボックスに大きな影響を与えてしまいました。また彼の飛行ボードによってメイおばさんは怪我を負い、命を落としてしまいました。最後は緑色の血清を投与され、元のノーマンに戻ることができます。
◆エレクトロ/マックス・ディロン
オズコープ社の電気技師です。電気ウナギの池に落ちる事故によって、電気を体から放出で切るようになりました。演じるジェイミー・フォックスは、マークウェブ版(アメイジングスパイダーマン2)では陰キャラでしたが、今作では今の自分を満喫していました。そのために、ピーターが提案する治療に乗り気ではありませんでした。
マークウェブ版では青い光を放っていましたが、今作では黄色の光を放つようになっており、より原作に近づく形になったようです。ピーターの作った胸につける装置で、放電できる力を止めることに成功し、元のマックスに戻っていました。
◆サンドマン/フリント・マルコ
素粒子実験の装置に入り込んでしまったことで、体が砂状に変化するようになったヴィランです。トーマス・ヘイデン・チャーチが演じるサンドマンは、サムライミ版のスパイダーマン3に登場しました。娘のためにやむなく強盗を繰り返していたところで、ベンおじさんを殺してしまいます。その脱獄中に体が変わってしまい、ヴェノムの誘いにそそのかされてしまったのでした。
今作では当初、エレクトロと戦うピーターを助けるなど、善良な一面もありましたが、ヴィラン同士の絆に負け敵対することに。3人のピーターが開発した血清を打ち込まれたことで、人の姿を取り戻すことができました。「娘に会いたい」と言っていたのが印象的でした。
◆リザード/カート・コナーズ
人体実験の結果、副作用で体が巨大なトカゲに変化してしまったキャラクターです。サムライミ版のスパイダーマン2と3にピーターの通う大学の教授として登場、アメイジングスパイダーマンではピーターの父リチャードの同僚として登場しました。この時に、遺伝子交配の実験に失敗してしまったのがヴィラン化のきっかけでした。
今作では、ピーターが探す前に、すでにスティーブンがどこかで捕まえてきており、地下牢に一番乗りしていました。ピーターからの治療の提案にはさほど積極的ではなく「下手な治療は惨事になる」と過去の経験を語っていました。自由の女神の工事現場で治療薬を打たれ、治療が終わっています。
◆ヴェノム/エディ・ブロック
地球外生命体シンビオートに寄生されたことで、強大な力とともに真っ黒な姿に変化するキャラクターです。今作ではトム・ハーディが演じていますが、スパイディシリーズではサムライミ版のスパイダーマン3に登場しました。その作品では、ピーターに寄生し悪意のあるブラックスパイダーマンに変えていましたが、その後で、ピーターを逆恨みするエディに取り憑いていました。
今作では本編では姿がありませんでしたが、ピーターが、2人のピーターに「今まで一番やばかった敵は?」と聞いた時にピーター2が「黒い寄生体だな」と回顧しています。またミッドクレジットでは映画「ヴェノム」の1と2のキャラが登場し、MCUについにその姿がお目見えとなりました。
ドクター・ストレンジ/スティーブン・ストレンジ
ソーサラー・スプリームと呼ばれる孤高の魔術師であり、スティーブン・ストレンジという名の元天才外科医。エンシェント・ワンの教えを受け継ぎ、宇宙の脅威から地球を守っています。
今回はスパイディが訪れたサンクタム・サンクトラムの様子がちょっとおかしいのですが、ピーターに力を貸し、カフカルの魔法陣という“危険な”魔法を使ってしまいました。エンドクレジットでは今回の一件の裏側で、多くの苦労もしていたようで。これがおそらく、次作の「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」への布石になりそうです。
◆ウォン
カーマ・タージを守り、魔術書が眠る書庫の番人です。今回は5年間不在にしていたサンクタム・サンクトラムのメンテナンスに忙しい様子で、スティーブンのしでかしてしまった件には、関わっていたのかどうかまで見えていませんでした。
ウォンは「シャン・チー」でも登場しました。シャンチーが受け継いだテンリングスの解明に、ハルクやキャンプテンマーベルと乗り出しました。また、アボミネーションとも仲が良いことが判明し、その存在にはまだまだたくさんの謎が隠されていそうです。
◆ハッピー・ホーガン
トニー・スタークの元運転手でありながら、現在はスタークインダストリーズのセキュリティを統括する存在のハッピーは、前作でメイおばさんと恋仲になったと思いきや別れ話の気配になっていたところ、今作冒頭ではまんまと別れ話が持ち上がってしまいました。
アイアンマンの後継者として嘱望されることに悩んでいたピーターの心の支えとなっているハッピーは、今作でも世間から白い目で見られるピーターに自宅を隠れ家として提供したり、ピーターにかけられた嫌疑を晴らすために奔走していました。最終的には愛するメイおばさんを亡くしてしまい「あの時以来だ」とトニーを失った時の思いと、今の気持ちを重ね合わせていました。
デアデビル/マット・マードック
デアデビルは、盲目の弁護士マット・マードックでありながら、クライムファイターとしても悪に立ち向かいます。ですけど…今回は本当に弁護士に徹していましたね…。今後関わりは多くなってきそうです。単独作品の予定もあるとされているため、その布石にもなってそうです。
<学園メンバー>
◆ユージーン・フラッシュ・トンプソン
ピーターのクラスメイトで、金持ちのボンボンは、トニー・レヴォロリが演じています。スパイディの大ファンなので、ピーターがスパイディと知ると手のひらを返したように擦り寄ってきました。今回はピーターがMIT進学を直談判するために、すでに進学が決まっていたフラッシュが、コネを使って接点を提供してくれました。
◆ベティ・ブラント
ピーターのクラスメイトで、学校のTVチャンネルレポーター。とにかく噂話が大好きなので、今回もピーターがスパイディとバレたことで、ピーターを追いかけ回していました。演じたのはアンガーリー・ライスです。
◆リズ
もともとピーターが恋心を抱いていたクラスメイト。ピーターがスパイディとわかっった瞬間に、雑誌でパーカーを「嘘つき」とディスってました。
◆デル先生(真ん中)
ピーターの高校の教師です。今回ピーターがスパイディだとバレたことで、職員室前にスパイディとピーターを称えるコーナーを作って、「スイングで登校してもいいよ」とテンション爆上がりでした。
◆ハリントン先生(左)
ピーターの所属する学術十種競技の顧問。前作ではデル先生とピーターたちの欧州旅行の引率をしていました。今作ではデル先生とともにピーターがスパイディであることに肯定的。ミステリオ派のウィルソン先生をなだめます。
◆MITの副理事長
ピーターのクラスメイト、フラッシュのツテでピーターのMIT進学の直談判の相手役でした。空港に向かう車の中で、ネクタイを締めたピーターの懇願に付き合うことになります。そこでドック・オクとグリーンゴブリンの襲撃に遭い、スパイディが助けたことで、進学が前向きに進むことになったのでした。
◆サリー
MJと同じカフェで働いているキャラクターです。今作では名前だけが登場しましたが、実はサムライミ版のスパイダーマン1で、MJの恋やオーディションの相談役として登場していました。
原作から紐解く小ネタや、MCU内の伏線考察
原作にも登場。記憶を無かったことにするエピソード
原作にも、スパイディが自身が存在する記憶を消すエピソードがあります。それが「ワン・モア・デイ」(2007年)です。ただし、記憶を消したのはドクター・ストレンジでなく、悪魔メフィストでした。
「ワン・モア・デイ」では、「シビル・ウォー」でヒーロー登録法に賛成し正体を明かしたピーターが、途中で寝返ったことで政府や悪人から命を狙われてしまうというストーリー。そこにメイおばさんも巻き込まれて、狙撃手の銃弾に倒れてしまいます。ピーターは、ドクター・ストレンジ、ドクター・ドゥームやドック・オク、リード・リチャーズに命を救って欲しいと頼んで回りますが断られます。そして唯一、救いの手を差し伸べたのが悪魔メフィストだった、という流れです。
そして、メフィストが提案したのが、メイおばさんの命を救うために、ピーターとMJの愛の歴史を奪う=記憶を世界から消すという契約でした。ピーターはMJの記憶から消え去ってしまいました。本作ラストでは、何度もピーターがMJに正体を明かそうと悶え苦しむところがグッときましたね。
マルチバースの間にいた影はあのヴィランたち?
別世界のヴィランや、スパイディたちが戻っていった後、魔法を閉じ込めたボックスは、パンプキンボムによって不安定になり、空に紫の裂け目が生まれました。またもマルチバース出現のピンチです。
その裂け目の間には、サイとスコーピオンのシルエットが見えていました。彼らもまた、スパイダーマンのヴィランです。サイ=ライノはアメイジングスパイダーマン2で登場、スコーピオンはホームカミングにマーク・ガーガンとして登場していました。あれ以上のヴィランが登場されちゃうと、流石の3人のスパイディでも苦労したかもしれません、ああよかった。
ちなみに、槍をもった人物も映っていましたが、もしかしたら彼はヘルストームかも???しれません。
ついに、スパイディ・バースが現実に
今作のオープニングは、ソニーのロゴではじまりました。つまり、マーベルがソニーとの協業をアピールしたことに他なりません。実際に、ソニー作品でのスパイディのキャラクターが一気出しとなったのですから、まさにスパイディ・バースの誕生と言っても良いのではないでしょうか。
ですが、その片鱗はすでに、今作の前に公開されていた「ヴェノム2」でも明らかになっていました。エンドクレジットで、バカンスを楽しむヴェノムとエディの会話でマルチバースの話題が登場していました。また、その部屋のテレビにはピーターの姿が映し出されていました。そして、そのヴェノムも今作のミッドクレジットでお目見えした、というわけです。
また、本作は舞台がニューヨーク。ニューヨークといえば、デアデビルがサプライズで登場したり、ドラマ「ホークアイ」の舞台になった場所です(ホークアイではデアデビルのヴィラン「キングピン」が登場)など、スパイディ作品が縦横無尽に張り巡らされてからの、今作だったのです。
またソニーでは「モービウス」「クレイヴン・ザ・ハンター」の公開も控えています。
お待たせ!シニスターシックスがついに結成です
毎回、複数のヴィラン登場の噂が上がるたびに、スパイディにチームで挑む軍団が登場するのでは?との話題で盛り上がりますね。それがついに実現しました。シニスターシックスの登場、しかもマルチバースという演出で実現しました。
原作のスパイダーマン作品で、メインヴィランチームとして名高いのは、マッドサイエンティストのドック・オク率いる「シニスター・シックス」です。オク以外には、ヴァルチャー、ミステリオ、エレクトロ、クレイブン・ザ・ハンター、サンドマンが初代メンバーとして名を連ねます。
クレイブンは、そういえばドクター・ストレンジの地下牢で「シークレットハンターの撮影をした場所だ」との台詞がありました。ソニー映画の撮影、まさか、そこでやっちゃったわけですか???
ネッドの家系は魔法使いだった?原作ではモルドとの関わりも
ネッド、すごいスリングリング使いでした、びっくり。スティーブンですら苦労したトレーニングも不要で、じゃんじゃんポータルを開いちゃってましたよね、閉じるのはできなかったけど。おまけに、スティーブンのマントも着こなしていたし。今作の冒頭でもネッドが、自分の家系が魔法使いだと言っており、生粋の魔法使いであることを証明したようなものです。
原作でも、実はそういったエピソードが存在します。ミニシリーズ「シンビオート・スパイダーマン/エイリアン・リアリティ」で、ネッドがドクター・ストレンジの魔術書を盗み、モルドとともに現実改変に成功し、モルドがソーサラー・スプリームになってしまうという内容です。
ピーター・パーカーの出生が、ついにMCUで語られた
ピーターの出生は、シビルウォーに登場してからずっと、スパイダーマンになった経緯は触れられることはありませんでした。しかし今回、ピーター自身の口から、蜘蛛に噛まれてたことが語られ、他のスパイディ同様の設定であることが確認できました。
ピーター2とピーター3とのやり取りの中では、ベンおじさんの話題が出たりしました。ピーター3のアメイジングスパイダーマンでは両親が生きていました。現状のピーター(ピーター1?)にはメイおばさんの存在しか見えておらず、MCU内ではまだまだ語られていないエピソードがあるのかもしれません。
サンクタムの地下牢は、異世界と繋がっている?
ニューヨークのサンクタム・サンクトラムの地下には、現実とは切り離されたような世界が広がっていました。ヴィランを捕まえる牢があったり、ネッドが覗いた冷蔵庫には奇妙な生き物が瓶詰めになっていました。
ドクター・ストレンジの口からは「1000年の壁」というフレーズが飛び出しています。1000年の壁、と言えば、シャン・チーでも登場したターロー村にあった壁の可能性が高く、ソウルイーターが飛び出してくるような場所だということになります。サンクタムからも異世界に繋がっていて、自在に行き来ができているのかもしれません。
3人のスパイディの違いって、何???
スパイディが3人いるってのは、見ているだけでワクワクしました。MJに呼ばれて、同時に返事しているせいで、それぞれが番号で呼ばれる羽目に…。キャラも違えば、エピソードも異なるだけに、会話も個性豊かなものとなっていました。
ピーター1(MCU版)が「今まで一番やばい敵は?」とピーター2&ピーター3に聞くと、それぞれが「黒い寄生体」(ヴェノム)「サイのロシア人」(ライノ)と答え、ピーター1は「宇宙から来た紫のやつ」(サノス)と披露していました。ピーター3は自信がなさそうなのが特徴で「みんなすごい。俺だけロシア人だよ…」としょげるのですが、ピーター2に「何言ってんだよ、お前アメイジングだよ」と鼓舞していましたのもクスリと笑えるポイントですね。
因みに、今回では初代のスパイディ(ピーター2)のみが体から液体で蜘蛛の糸を作るけど、他の2人はウェブシューターを使う、と仕組みの違いも明らかになり、2人から「えっ?どうなってんの?」と聞かれると慌てて恥ずかしそうに口数が減ったのも印象的でした。
まとめ
- スパイダーマン過去作含めたお祭り作品で三部作の締めを飾った
- メイおばさんを亡くした悲しみは、もう2人のスパイディにも通じている
- ピーターを忘れてしまったニューヨーク。スパイディがどうなっていくのか
いかがでしたか?スパイディ作品三部作の最終章は、スパイディシリーズをうまくまとめ上げた作品になりました。
ヴェノムも参加するのか?これから、まだわからないことがたくさんありますが、それを見るためには是非とも本作を見ていただくのが良さそうですよ!
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