マルチバースとは?MCUでの意味とTVA・ヴァリアントの関係を解説
マルチバースとは、性質の異なる複数の世界が同時に存在している状態のことです。MCUでは、私たちが見てきた世界のほかにも別のユニバースがあり、そこには同じ人物の別バージョンが生きています。
この設定が本格的に動き出したのは、ドラマ『ロキ』からです。以降の作品では、別の世界から来た人物や、世界そのものの衝突が物語の中心になっていきました。
とはいえ、TVA、ヴァリアント、インカージョン、虚無、アンカーと似た用語が次々に出てきて、整理しきれないまま置いていかれた方も多いはずです。ここでは、マルチバースがどう広がってきたのかを順番に追いながら、それぞれの用語の関係をまとめます。
マルチバースとは?
マルチバースは、一つの宇宙(ユニバース)だけでなく、複数の宇宙が並行して存在するという考え方です。それぞれの世界には歴史があり、同じ人物がいても、経歴や性格、生死まで異なります。
MCUで重要なのは、この「別の世界」が理論上の話ではない点です。作品内では実際に行き来が起き、別の世界の人物がこちらへやって来ます。だからこそ、亡くなったはずの人物が再び画面に現れることもあるわけです。
ここで注意したいのは、マルチバースは「復活の便利な仕組み」ではないということ。別の世界から来た人物は、あくまで別人です。ここを押さえておくと、以降の作品がぐっと追いやすくなります。
MCUのマルチバースはいつ始まった?
きっかけは、2021年配信のドラマ『ロキ』です。それ以前にも並行世界を思わせる描写はありましたが、設定としてはっきり示されたのはこの作品でした。
『ロキ』が明かした神聖時間軸とTVA
『ロキ』では、時間の流れが一本の「神聖時間軸」として管理されていたことが明かされます。管理しているのがTVAという組織で、本来と違う動きをした時間軸は枝ごと剪定されていました。
つまり、それまでMCUに分岐世界が見えなかったのは、生まれるそばから消されていたからです。ところが、その管理者である「残った者」が命を落としたことで、剪定は止まりました。ここから分岐が一気に増え、マルチバースが広がっていきます。
ロキという人物そのものについては「ロキとは何者?敵か味方か・能力・現在」で詳しく扱っています。
『ノー・ウェイ・ホーム』で別の世界とつながった
映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、ドクター・ストレンジの呪文が失敗し、別のユニバースからスパイダーマンを知る人物たちが現れます。
ここで描かれたのは、世界の境界が緩んだときに何が起きるかです。別の世界の人物がこちらへ来るだけでなく、放っておけば世界そのものが壊れていく。マルチバースが危険な設定であることが、初めてはっきり示されました。
作品の詳細は「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームのネタバレ解説」をご覧ください。
映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』では、ユニバース間を移動する能力を持つアメリカ・チャベスが登場します。ドクター・ストレンジは実際に別の世界を渡り、そこで暮らす自分の別バージョンと出会いました。
この作品で語られるのが、インカージョンという現象です。世界を渡る行為には代償があり、二つの世界が衝突すれば両方とも滅びる。マルチバースの怖さが、具体的な形で提示されました。
詳しくは「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスのネタバレ解説」で扱っています。
マルチバースを理解する6つの用語
作品をまたいで出てくる用語は、単体で覚えるより関係で捉えたほうが早く理解できます。押さえたいのは次の6つです。
TVA(時間変異取締局)
時間軸を監視し、神聖時間軸から外れた分岐を剪定してきた組織です。『ロキ』で初登場し、『デッドプール&ウルヴァリン』にも登場しました。
組織そのものが善とも悪とも言い切れないところが、この設定の面白さです。秩序を守るために、無数の世界を消してきたわけですから。
ヴァリアント
別の時間軸やユニバースに存在する、同じ人物の異なるバージョンです。見た目も経歴も違うことがあり、同一人物として扱うことはできません。
『ロキ』では複数のロキが登場し、性別も姿もばらばらでした。ヴァリアントという言葉を知っておくと、「なぜ死んだ人物がまた出てくるのか」に自分で答えを出せるようになります。
分岐時間軸
ある出来事をきっかけに、本来の流れから枝分かれした時間の流れです。TVAはこの分岐を検知して剪定していました。
剪定が止まった今、分岐した世界はそのまま残り続けます。これが、マルチバースが「広がった」と言われる状態です。
インカージョン
異なる二つのユニバースが衝突し、両方が滅びる現象です。『マルチバース・オブ・マッドネス』で語られました。
世界を渡る行為が引き金になるため、マルチバースが広がるほど危険も増していきます。ここが、現在のMCUが抱えている最大の問題です。
虚無(The Void)
TVAに剪定された時間軸と、そこにいた存在が流れ着く場所です。消滅ではなく「捨て場」がある、という点がポイントになります。
『ロキ』では、ロキとシルヴィがここへ落とされ、すべてを喰らう存在アリオスと対峙しました。『デッドプール&ウルヴァリン』では物語の主舞台になり、行き場を失ったヒーローやヴィランが暮らす世界として描かれます。剪定という言葉の重みが、この空間を知ると変わってきます。
虚無で何が起きたかは「『デッドプール&ウルヴァリン』のネタバレ解説」で扱っています。
アンカー/ネクサス・ビーイング
アンカーは、その世界が存在し続けるために欠かせない人物のことです。『デッドプール&ウルヴァリン』で「anchor being」として説明されました。
作中では、ウェイドの世界であるアース10005のアンカーがウルヴァリンでした。彼が命を落としたことで世界が崩れ始める、というのが物語の出発点です。世界は等しく強いのではなく、たった一人に支えられていることがある。マルチバースの設定に新しい弱点が加わったと言えます。
似た言葉に、アニメ『ホワット・イフ…?』で使われたネクサス・ビーイングがあります。こちらは複数の世界にまたがって存在する特異点のような人物を指し、ワンダやウルトロンが該当しました。どちらも「その人物がいなくなると世界が保たない」という発想は共通しています。
6つの関係を一文で整理すると
マルチバースは複数の世界そのもの、TVAはそれを監視していた組織、ヴァリアントは別の世界にいる同じ人物、分岐時間軸は枝分かれした時間、インカージョンは世界同士が衝突する現象、虚無は消された世界の行き着く先です。そして、その世界を支えているのがアンカー。世界があり、監視者がいて、住人がいて、支え手がいて、衝突と廃棄が起きる。この順で覚えると混乱しません。
同じ人物なのに別人? ヴァリアントと別個体の見分け方
マルチバース作品でいちばん混乱しやすいのが、「この人は前に見たあの人と同じなのか」という点です。名前が同じでも、同一人物とは限りません。
目安になるのは次の3つです。
- 同じ俳優が、同じ役として戻ってきているか
- 劇中で、その人物の過去や出身世界が語られているか
- 公式が同一人物だと説明しているか
3つとも満たしていれば、過去作と地続きの人物と考えて問題ありません。逆に、名前と姿だけが同じで説明がない場合は、別の個体と見ておくほうが安全です。
過去作とつながっている例
『デッドプール&ウルヴァリン』のパイロとセイバートゥースは、それぞれアーロン・スタンフォードとタイラー・メインが、X-MEN映画で演じた役をそのまま再演しています。X-23を演じたダフネ・キーンも『LOGAN/ローガン』からの続投で、成長した姿として描かれました。
ブレイドのウェズリー・スナイプス、エレクトラのジェニファー・ガーナー、ジョニー・ストームのクリス・エヴァンスも同様です。いずれも過去に自分が演じた作品の人物として登場しています。
名前が同じでも別の個体である例
同じ作品に出てくるガンビットは、チャニング・テイタムが演じています。『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』にもレミー・ルボーは登場していますが、そちらの演者はテイラー・キッチュ。両者の関係は劇中で語られないため、別の個体と考えるのが自然です。
虚無に集まっていたサイロック、トード、カリスト、レディ・デスストライク、アザゼルも、名前は過去のX-MEN映画と同じですが、同一個体かどうかは示されません。マルチバースでは、同じ名前の人物が無数に存在しうるからです。
判断が保留されている例
『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』に登場するジーン・グレイも、この論点にあたります。X-MENの中心人物と同じ名前ですが、本編では出身世界もX-MENとの関係も語られません。
【公式未発表】本作のジーン・グレイが、これまで映像化されてきたジーン・グレイと同じ人物なのかは、公式に説明されていません。作品の内容は「『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』のあらすじと結末」で扱っています。
マルチバースがわかる作品と見る順番
全作品を見直す必要はありません。設定の流れを追うだけなら、次の順番で足ります。
- 『ロキ』シーズン1 ― TVA、神聖時間軸、ヴァリアント、虚無の登場
- 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』 ― 世界の境界が緩む
- 『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』 ― 世界を渡る、インカージョン
- 『ロキ』シーズン2 ― 分岐した時間軸のその後
- 『デッドプール&ウルヴァリン』 ― TVAの現在、虚無、アンカー
- 『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』 ― 呪文の代償と、宇宙で終わるエンドクレジット
アニメ『ホワット・イフ…?』は、別の選択をした世界を1話完結で描くシリーズです。設定の理解には必須ではありませんが、マルチバースの考え方そのものを楽しむには向いています。
MCU全体をどの順番で見るかは「MCUを見る順番|公開順・時系列・アベンジャーズ順」で解説しています。
マルチバースはこの先どうなる?
フェーズ4からフェーズ6は「マルチバース・サーガ」と呼ばれ、この設定が全体の軸になっています。集大成にあたるのが、2026年12月18日公開の『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』です。
この作品には、これまで別の世界として描かれてきたファンタスティック4やX-MENの面々も登場します。マルチバースという設定があったからこそ、彼らが同じ画面に並べるわけです。出演者は「『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』登場人物・キャスト一覧」で勢力別にまとめています。
敵として立ちはだかるのがドクター・ドゥームです。人物の背景は「ドクター・ドゥームとは何者?」で解説しています。
原作の到達点、バトルワールド
もう一つ知っておきたいのがバトルワールドです。インカージョンで滅びた世界の断片を寄せ集めて作られた、原作コミック『シークレット・ウォーズ』の舞台にあたります。
1984年版では、宇宙的存在ビヨンダーがヒーローとヴィランを集めて戦わせる惑星として描かれました。2015年版では、複数の世界の断片が一つの惑星として縫い合わされ、ドクター・ドゥームがそれを統べる神として君臨します。
【公式未発表】MCUの『アベンジャーズ/シークレット・ウォーズ』は2027年12月17日公開予定とされていますが、バトルワールドが登場するかどうかは公式に発表されていません。原作を踏まえたファンの予想が先行している段階です。『ブランド・ニュー・デイ』のエンドクレジットとの関係は「『ブランド・ニュー・デイ』ラスト・エンドクレジット考察」で扱っています。
マルチバースについてよくある質問
マルチバースとパラレルワールドは違う?
ほぼ同じ意味で使われます。MCUでは「ユニバース」「時間軸」という語が場面によって使い分けられますが、複数の世界が並行して存在するという点は共通です。
死んだキャラクターは復活する?
別の世界の同じ人物が登場することはあります。ただしそれはヴァリアントであって、亡くなった本人が生き返るわけではありません。ここを混同すると物語を読み違えます。
デッドプールはMCUに入ったの?
『デッドプール&ウルヴァリン』でウェイドはTVAに召集され、神聖時間軸であるアース616へ足を踏み入れました。旧20世紀フォックス作品の人物が、MCUの物語と直接つながった形です。
【公式未発表】ただし、彼が今後どの立場でMCUに関わるのかは発表されていません。『ドゥームズデイ』での扱いも未確定です。
ミュータントやX-MENはマルチバースと関係ある?
これまでX-MENは別の世界の物語として描かれてきました。マルチバースという設定があることで、彼らが同じ画面に並ぶ理由が用意されたことになります。
【公式未発表】MCU本流にミュータントがどう組み込まれるのか、その全体像は公式に説明されていません。
『ロキ』を見ていないと『ドゥームズデイ』はわからない?
必須と断定はできません。ただ、TVAと分岐時間軸の説明は『ロキ』でしか描かれていないため、見ておくと理解の負担がかなり減ります。
マルチバースはいつ終わる?
公式に明言されていません。『ドゥームズデイ』と『シークレット・ウォーズ』でマルチバース・サーガが区切りを迎える構成になっていますが、その後の展開は未発表です。
まとめ
- マルチバースは、複数の世界が同時に存在している状態のこと
- TVAによる剪定が止まったことで分岐が広がり、世界同士の衝突という危険も生まれた
- 剪定された世界は虚無へ送られ、世界はアンカーと呼ばれる人物に支えられている
- 名前が同じでも同一人物とは限らず、俳優の続投と劇中の説明が見分けの手がかりになる
- 設定を追うだけなら『ロキ』『ノー・ウェイ・ホーム』『マルチバース・オブ・マッドネス』の3作品から始められる
用語が多くて身構えてしまう設定ですが、「世界・監視者・住人・支え手・衝突」という関係でつかんでしまえば、そこまで複雑ではありません。ここまで整理できていれば、『ドゥームズデイ』は十分に楽しめるはずです。
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