映画「ドクター・ストレンジ:マルチバース・オブ・マッドネス」は、2016年公開のドクター・ストレンジ単独作品の2作目です。公開は世界最速2022年5月4日公開で、スパイダーマン作品の3作目「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」に続くMCUフェーズ4作品群の4つ目の映画作品にあたります。
マルチバースといえば、前作のスパイディで盛大に登場した多次元宇宙。その宇宙間を自在に行き来できるキャラクター、アメリカ・チャベスが現れることで、ストーリーが始まりました。
そして、今作はドラマ「ロキ」や「ワンダ&ヴィジョン」のエピソードの伏線回収もありました。そこで、今回は本編を振り返りながら、ドラマを見ていない方でもわかりやすく解説ができればと思います。
ここでは
- ラストに登場した女性クレアとは
- ヴィシャンティの書の正体
- アース616、アース838について
などなど、過去エピソードだけでなく、新しい用語が多く登場したこともあるので、原作をベースに深堀していきます。
「ドクター・ストレンジ:マルチバース・オブ・マッドネス」あらすじ
作品の始まりは、宇宙の裂け目=ギャップジャンクションでした。普段とは異なるポニーテールのようなスタイルのドクター・ストレンジことスティーブン・ストレンジと、アメリカ・チャベスが足をたくさん持つクリーチャーに追われながら、光る書物「ヴィシャンティの書」を手にしようとします。
スティーブンは魔術を使い、クリーチャーを閉じ込めますが、力が一歩及ばず負傷し、足と胸を貫かれてしまいます。アメリカが悲鳴をあげると星型のポータルが開き、アメリカが姿を消します。そして、スティーブンは自宅のベッドで目を覚まし、それが夢だったと考えました。
クリスティーンの結婚式から一転、自身の死体と“夢”の再会
その日は、スティーブンの元恋人クリスティーンの結婚式でした。クリスティーンはスティーブンとの関係を断ち切り、チャーリーとともに歩むことを決めたのでした。未練タラタラのスティーブンでしたが、式場の外では街ゆく人や乗り物が、一つ目で複数の足を持つガルガントスに襲われており、救出に向かいます。
そこには、ベネディクト・ウォンも合流します。潰されかけたバスに乗っていたのは、夢で会ったはずのアメリカ・チャベスでした。姿を隠しながら街を荒らしていたのは悪霊の使いで、アメリカを追いかけてきたのでした。「あれは夢でない」とアメリカはスティーブンに言い、制御できないものの、複数の宇宙=マルチバースを行き来できるポータルを開ける能力があることを伝えます。
ガルガントスを退治し、アメリカを連れサンクタム・サンクトラムに戻ったスティーブンとウォンは、彼女がスパイダーマンの存在も知らない、別の宇宙から来ていることを知ります。しかも目の前で、別の宇宙のスティーブンの死体を見せられ、やむなく埋めておきます。そこには魔法と関わりのあるルーン文字も見えることから、スティーブンは魔法の存在を知る人物を訪ねようとします。
孤独に苦しむワンダがスカーレット・ウィッチに
スティーブンは、リンゴ農園を営むワンダを訪ねます。ワンダは「ウエストビューのことね」と、架空の“家族ごっこ”をしていた事件を引き合いに出します。スティーブンはそれを否定し「アベンジャーズが必要なんだ」と、「モヒカン」のキャンプテン・マーベルでなく、「虫の」アントマンでなく、ワンダに助けを求めたいと頼み込みます。
ところが「アメリカをここに連れてきて」とワンダは、教えてもいないアメリカ・チャベスの名前を口にしました。ウエストビュー事件では自身の能力で現実改変を引き起こし、双子の母となっていたワンダは、魔女アガサによって失った子供ビリーとトミーとの生活を望んだ結果、禁断の書ダークホールドを手にしていました。そして、別宇宙の子供たちに会いに行くためにアメリカの能力を手に入れようとして、これまでに悪霊を放っていたのだと明かします。リンゴ農園も、ワンダが作り出した幻影でした。
ワンダは「日没までに引き渡さなければスカーレット・ウィッチが追うことになる」と言いますが、スティーブンとウォンはアメリカを連れ、カーマ・タージに向かいます。香港とロンドンのサンクトラムからも助っ人が到着し、ワンダの襲来に備えますが、ダークホールドに心を乗っ取られたワンダの力はあまりに強大で、カーマ・タージは破壊されます。
モルドとの再会と、ストレンジ博物館?ストレンジが殉死したアース838
ワンダの力に恐怖を感じたことで、ポータルを開いてしまったアメリカとともにスティーブンが向かった世界は、花が咲き誇るニューヨークでした。信号が赤でも「すすめ」であったり、ルールは異なる宇宙で、ストレンジ博物館なるものもありました。ピザボール屋台では無銭飲食未遂もしてしまいます。
「72の宇宙に行った」と途方に暮れるアメリカは、もともと両親と一緒のところを、ハチの存在に驚いたことでポータルを開いてしまい、親と離れ離れになって彷徨っていました。思い出を映像化するシステムで、スティーブンもクリスティーンと過ごした日々を再現され、複雑な表情を見せます。
この宇宙ではスティーブンがヒーローとして崇められ、その裏側にはイルミナティなる組織が存在していました。そこでスティーブンは、モルドと再会します。一見友好的なモルドでしたが、ふるまわれたお茶にニサンティの砂を仕込まれ、スティーブンとアメリカは意識を失います。
イルミナティに断罪されるドクター・ストレンジ。アース838でしでかしたこととは?
スティーブンとアメリカ・チャベスは、独房に隔離されます。監視役のクリスティーンは「あなたが死んで、この仕事に志願した」とバクスター研究所の職員となった経緯を話します。また、スティーブンがやってきたのはアース616であり、ここがアース838だとも説明します。
そこにシンセゾイドがやってきて、スティーブンは会議場へと連れ出されます。そしてイルミナティの面々と相対することになります。キャプテンカーター、キャプテンマーベル、リードリチャーズ、ブラックボルト、そしてX-MEN創始者のチャールズ・エグゼビア、そしてモルドもそのメンバーでした。ストレンジのヒーロー像は表向きであって、この世界のストレンジが、宇宙を破壊してしまいインカージョンを起こしたことで闇落ちした、と説明をしていたところに、ワンダが現れます。
ワンダは、カーマ・タージでウォンの弟子サラによってダークホールドを燃やされ激昂します。その力がないと、“ドリームウオーク”が出来ず失った双子に会えないからです。脅して口を割らせたウォンから原書があると聞き、そのありかである、ワンダゴア山に向かいます。そこにはワンダの石像が祀られ、彼女は力を増幅させます。そしてアメリカがいるアース838に向かい、イルミナティの前に現れたのでした。
スティーブンVS黒いスティーブン。闇落ちした“シニスター・ストレンジ”との対峙
ワンダがイルミナティのメンバーを殺害していく間に、スティーブンとクリスティーン、アメリカ・チャベスは逃げ道を探します。最後の扉は、クリスティーンが過去にスティーブンに贈った時計が鍵となり、ヴィシャンティの書のあるギャップジャンクションにたどり着きますが、ワンダが追いつき、ヴィシャンティの書を焼いてしまいます。
ポータルを開いたアメリカは逃亡、ワンダもそれを追います。残されたスティーブンはアース838の自分に会いに、サンクタムに向かいます。サンクタムの中は、長い階段の続く荒廃した空間でした。そこには闇落ちしたシニスター・スティーブンの姿がありました。疑うシニスター・スティーブンに、本人である証明のためスティーブン自身しか知らなかった過去を明かします。
スティーブンは、シニスター・スティーブンに、アース838のダークホールドを使わせてほしいと頼み込みます。シニスター・スティーブンは「幸せか?」とスティーブンに詰め寄ります。この世界でもスティーブンはクリスティーンと結ばれないままでした。そして3つ目の目を見開き「お前のクリスティーンを渡せ」と詰め寄ります。スティーブンは音の粒子を魔法で操り、シニスター・スティーブンを消滅させます。
秘策はゾンビのスティーブン?勇気を得たアメリカ・チャベスがついに覚醒する
スティーブンはダークホールドを操って、別の宇宙の自分を操る“ドリームウオーク”を試みます。その間に無防備になってしまう自分の肉体を、クリスティーンに託します。アース838のクリスティーンはバクスター研究所勤務だけあり魔法に詳しく、襲い掛かる悪霊にボムガリアスの壺を使って戦います。
スティーブンが乗り込んだ、ワンダとアメリカたちのいるアース616のスティーブンは死体でした。「死体は掟破りだ」との声が聞こえてきますが一切無視で、うまれ出てくる悪霊を従える形で、ワンダゴア山へ向かいます。崖下から這い上がってきたウォンと共に、「今の私は殺しても死なない」と勇みワンダの力を封じこめようとします。
ウォンは、ワンダがアメリカのパワーを奪い取る前に、スティーブンが彼女のパワーを奪うようスティーブンに言います。しかし、スティーブンが選択したのは、アメリカが自分のパワーをモノにできるようになることでした。「自分を信じろと伝えにきた」「君はいつも正しいところにポータルを開いてくれた」と鼓舞するゾンビ姿のスティーブンの言葉で、アメリカは覚醒し、自分の手でポータルを自在に開けられるようになります。
双子とのあまりに悲しい再会。絶望のワンダは姿を消す
封印を解いて襲い掛かるワンダに、アメリカ・チャベスはポータルを開いて別のアースへと導きます。そこには、双子と心地良さそうにソファでうたた寝をするワンダがいました。そこに割って入ろうとするワンダは、そのアースのワンダを負傷させます。双子は「魔女だ」と怯え、怪我した母ワンダに加勢しようとするのでした。
必死で双子を奪おうとするワンダに、もう1人のワンダが「私が双子を愛します」と宣言しました。それを合図に、アメリカはポータルを閉じます。絶望したワンダは、自分が愛したはずの双子は自分の元に存在しないことにようやく気づきました。「ダークホールドは私が閉じる」と言ったワンダは、全宇宙のダークホールドを処分し、ワンダゴア山の神殿を崩壊させ、自身もその下敷きとなりました。
スティーブンはアース838の体に無事戻り、クリスティーンに「全宇宙の君を愛している」と告げ、元のアース616へと向かいました。アメリカはカーマ・タージでウォンに弟子入りし修行に励むことになりました。スティーブンは決して望んだ今でないにせよ「共に苦しむ仲間がいてくれる」とウォンに感謝をするのでした。
三つ目が復活?エンドクレジットではクレアがついに登場!
ニューヨークのサンクタムに戻ったスティーブンは、クリスティーンがくれた時計を直しました。そして晴れやかな表情で、街に繰り出します。流れてきたのは、ギターの音です。それを聞いた瞬間にスティーブンが苦しみ出しました。その顔の、眉間の間にはもう1つの目が開いていました。闇落ちしたシニスター・ストレンジと同じ目です。映画はそのままエンドロールへと向かいます。
エンドクレジットは、同じニューヨークのサンクタム・サンクトラムです。マフラーを巻いたスティーブンが街に繰り出そうとすると「スティーブン」と話しかける声が。振り向くと、紫のコスチュームに身をまとった、クレアがいます。「インカージョンを修復しないと」と彼女が指し示した先には、謎の色彩に満ちた空間が開いていました。スティーブンは再び三つ目となって、クレアと共にその空間に乗り込みます。
3週間の魔法をかけたピザボール屋台の店主は、ようやく魔法が解けて、自分の顔を殴るのをやめられ「これで終わり!」と叫んで映画は終わります。(店主はアース838の世界のはずですが)
「ドクター・ストレンジ:マルチバース・オブ・マッドネス」の登場人物
ドクター・ストレンジ/スティーブン・ストレンジ
元天才外科医でありながら、マルチバースの脅威から世界を守るすソーサラースプリーム(至高の魔術師)。「エンドゲーム」ではサノスに打ち勝つ一手を見出し、それを遂行するために全力を尽くした、いわばヒーローでしたが、指パッチンで世界は混乱。世間も言うほどすんなりと認めてはくれていなかったようで…。クリスティーンの結婚式でも、若干肩身が狭そうな感じでした。
今作は、そのクリスティーンの結婚式から始まる、傷心のスティーブンでした。ですが、アース838では別のクリスティーンが魔術への理解を示し手助けをしてくれ、これまでの傍若無人な様子から、クリスティーンの存在自体を愛せば良い…と達観の域に。最後は三つ目のシニスター・ストレンジが顔を出していたようですが、これからどうなっちゃうんでしょ。
直前公開のスパイディ作品からの関連があるのでは?との憶測もありましたが、マルチバース、というくらいの関連でした。
ディフェンダー・ストレンジ
冒頭で、アメリカ・チャベスと共にギャップジャンクションに登場したポニーテール姿のスティーブンです。この時のスティーブンは「ディフェンダー・ストレンジ」と呼ばれています。
原作では、ディフェンダー=トニースタークが結成したヒーローチームで、スティーブンもその仲間でした。この世界は邪悪な魔女モルガン・ル・フェイの脅威にさらされていて、彼女から世界を守ろうとしたのがディフェンダーズでした。
ワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチ
MCU最強の魔女であるワンダが、結果的に今回のヴィランでした。ドラマ「ワンダ&ヴィジョン」では、彼女のとてつもない能力が明らかとなります。それは現実改変能力で、死んだはずの恋人ヴィジョンとの幸せな生活の誕生でした。そこでは彼女は、2人の間に双子の子供を授かっていたのですが、魔女アガサによってそれが失われてしまった、その後が今作でした。なんか、悲しすぎるけど。
ワンダはアガサから奪ったダークホールドで、再び自身の望む生活を取り戻そうとするのですが、それは叶いませんでした。ワンダゴア山で姿を消してしまいますが、このあともどんな姿で登場するのでしょう。「ワンダビジョン」で弟ピエトロがX-MENバージョンで登場しているのと、プロフェッサーもイルミナティメンバーで登場しているので、どこかの世界との関わりで姿を見たいものです。
アメリカ・チャベス
マルチバースを自在に行き来できる、星形ポータルを作り出す能力を持ちます。彼女自身はユートピアパラレルと言う別次元の生まれです。最初は感情が刺激されると勝手にポータルが開いちゃっていましたが、最後には自身の拳で開けるよう”成長”しました。
ドラマでは、続々と次世代アベンジャーズの存在が現れていますが、映画作品でもついに登場ですね。原作では、二代目ホークアイであるケイト・ビショップとの関係が深いようです。ケイト・ビショップはすでにドラマ「ホークアイ」で登場済みであり、2人とも「ヤングアベンジャーズ」のメンバーなんです。
ベネディクト・ウォン
カーマ・タージを守り、魔術書が眠る書庫の番人。という設定が、ぐいぐいとその存在感はアップです。「シャンチー」でも、シャンチーたちをスカウトしたり、スパイディ作品でも登場しています。今作では、ソーサラースプリームと呼ばれていました。スティーブンがいなかった間にカーマ・タージの最高責任者になっていたのですから大出世!
とはいえ、スティーブンとの絆は健在で、カーマ・タージで修行を始めたアメリカ・チャベスを見ながら「誰かに似てる」と苦笑いします。こうやって、新たな魔術師を育成するのがウォンのお仕事なんですね。
クリスティーン・パーマー
スティーブンの元カノ。1作目では、魔術師になってもスティーブンを支えようとしていたので、可能性あるのかなーと思ったら、どこのどなたかのチャーリー(写真後ろの人物)と結婚しちゃうんですね。
ですが、今作はクリスティーンがこれまで、どれだけスティーブンを思ってきたのか、がわかります。
アース838(赤髪)では魔法を研究していましたし、ドリームウオーク中のスティーブンの体を守ってくれました。
バロン・モルド
エンシェントワンに師事したスティーブンの兄弟子でありながら、エンシェントワンを殺そうとしてしまった危うい存在。今作でどの世に登場するのか注目されていました。アース616では存在が確認できませんでしたが、アース838ではイルミナティのメンバーになっており、「マスター・モルド」と呼ばれご満悦の表情でした。
スティーブンに対しては友好的に振る舞っていましたが、結局スティーブンを陥れてイルミナティ入りしているあたりが抜け目ない感じです。アース838で実際にスティーブンに嫉妬をしていたことから、スティーブンを闇落ちさせた張本人のようです。イルミナティのメンバーは彼以外ワンダに殺されていますが、彼だけ生き残っていました。
トミーとビリー
ワンダとヴィジョンとの双子の息子たちです。すでに「ワンダビジョン」で登場済み。最終回で「ママ助けて」の言葉を残し、姿を消してしまっています。
彼らは次世代アベンジャーズのメンバーで、ヤングアベンジャーズの仲間です。トミーは「スピード」という名前で、ワンダの弟ピエトロと同じような高速で動ける能力を持ち、ビリーは「ウィッカン」という名前でワンダ同様の魔術を操れます。
ガルガントス
アメリカ・チャベスを追って異次元からやってきた怪物です。シュマゴラスにも似ていますが、そこまで位は高くないのと、海洋の生物なのでちょっと違うみたいですよ。
◆リントラ
超次元惑星ラヴァール出身の知的生物で、カーマ・タージに修行にきています。
◆ドクター・ウエスト(ニコデマス・ニック・ウエスト)
スティーブン、クリスティーンの元同僚。スティーブンと結婚式で会いますが、指パッチンの5年で親族がなくなってしまい「これ(その方法)しかなかったの?」と緩く責め立てていました。
◆サラ
アース616のダークホールドを消滅させるために、命を投げ出した、カーマタージのメンバーでした。
今作にまつわる小ネタ
悪そうな顔のスティーブン、シニスター・ストレンジとは?
今作では、さまざまなタイプのスティーブン・ストレンジが登場しました。中でも次作まで引っ張りそうな“三つ目”のスティーブンについては、今のうちに掘り下げておく方が良いのかも?彼の名前は「シニスター・ストレンジ」でした。彼は今作では、マルチバースの狂気を目撃したことで狂気に堕ち、シニスター・サンクトラムに一人住んでいました。
“闇落ち”したスティーブンは、すでにMCU作品でもアニメ「what if…?」でも登場済みです。
タイトルは「手の代わりに恋人を失ったら?」で、本来は事故で両手の神経を失ってしまうのですが、アニメでは事故時に車に同乗していたクリスティーンを失ってしまうのです。そこではクリスティーンを取り戻すために、時間を何度も巻き戻し、魔物の力を操る狂気の沙汰が見れます。(結局元には戻らず、スティーブンはおかしくなったまま)
原作でもスティーブンは、イルミナティに絡んでキャップの記憶を消したり、ファンスタスティックフォーのヴィランであるドクター・フォン・ドゥームに魔術を仕込むなど、あまりよろしくないこともし、暗い側面も持っています。今回の呼び名「シニスター」は、原作ではヴィラン集団シニスター・シックスがいるように、基本的は悪役寄りです。三つ目の「シニスター」といえば、ミスター・シニスターが存在します。彼は原作ではX-MENのストーリーで登場しています。
そもそも「マルチバース」の、おさらいをしましょう
サブタイトルに堂々と登場した「マルチバース」。フェーズ3の作品「アベンジャーズ/エンドゲーム」あたりから語られるようになりました。そして、フェーズ4に入ってからは、すでにスパイディ作品だけでなく、ドラマでも語られており、ストーリーの主軸には欠かせない話題になりそうです。
マルチバースとは、「ユニバース」の対局にある“多元的宇宙”を指していて、今いる世界だけでなく、その時の意思/行動選択によって生まれる多くの分岐でできる別の世界がある、という考え方です。「エンドゲーム」では、インフィニティストーンを回収するために過去に戻りますが、それによって多くの分岐が発生して世界が混乱しないよう、エンシェントワンがハルクに語っていました。
実際にフェーズ4では、その分岐が起きまくっています。今作の直前公開だった「スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム」ではスパイディがスティーブンに頼み込んで、スパイダーマンの正体が知られていない世界を作ったことでスパイディが3人揃っちゃいました。ドラマ「ロキ」ではマルチバースの発生を食い止めるTVAという組織も登場しました。最もわかりやすいのはアニメ「what if…?」。タイトルそのまま、たくさんの「もしも」が、たくさんのキャラを生み出していました。
マルチバースには番号がついていた?
原作には「アース」「宇宙」「バース」という呼び名で、その世界が数字で分類されています。ちなみに、今回登場したマルチバースは…?
アース616 |
正史と呼ばれる場所であり、多くの作品の本筋がここで語られている。 |
アース838 |
イルミナティが存在する世界。バクスター財団=ファンタスティックフォーで登場した研究施設がある |
アース26111 |
アメリカ・チャベスとポニーテールスタイルのスティーブンがいた世界 |
アース58163 | 闇落ちしたシニスター・ストレンジがいた世界 |
魔導書ダークホールドとヴィシャンティの書とは?
今作で、ワンダが取り憑かれてしまったダークホールドという魔導書は、原作でも何度も登場しては世界を危機に陥れてきた危ない書物です。ワンダがそれを手に入れたのは、MCUドラマ「ワンダビジョン」でした。(エージェントシールドやランナウェイでも登場するが関連性は見えていない)
ダークホールドは罪の書や、魂を蝕む存在と言われていました。シニスター・ストレンジも、ダークホールドを使わせて欲しいと頼んできたスティーブンに「読んだ者には代償が伴う」と念押しをしていました。
ちなみに、その対局として語られるヴィシャンティの書は、原作ではわずかに登場しますが、偉大なる3柱の神々ヴィシャンティの叡智を書き記した書物とだけあり、それが何なのかまでは語られていません。今作でも特段の説明がなく焼失されました。ちなみに、原作ではスティーブンが、事故にあった兄弟ビクターを復活させるときにヴィシャンティの書を用いて、間違って吸血鬼にしてしまうというエピソードもありました。
ワンダゴア山はワンダと邪神が関わる場所
ダークホールドの原書を求めてワンダが向かった場所、ワンダゴア山は、結果的にワンダの名前にも似ていて(綴りは違う)が“最後”を迎えた場所にもなりました。このワンダゴア山は、色々と言われのある邪悪な場所でありワンダとも関わりの多い場所です。
そもそも前述したダークホールドを生み出したクトーンが召喚されたのは、東欧の秘境にあるこのワンダゴア山でした。そのため、クトーンの影響を強く受け異次元とも関わりがあり、スクラルが閉じ込められていた場所でもあります。またワンダはこの山の麓で生まれ、その能力を感知したクトーンがワンダに、カオスマジックを操るミュータントとしての魔力のタネを植え付けた、とされています。
今作でワンダがワンダゴア山に到着した際に登場した4体の魔物は、クトーンの配下のようです。だとすれば、ウォンに牙を剥き、クトーンが見込んだワンダに従ったのものうなづける話です。
ダークディメンションに一緒に向かったクレアとは?
紫色のスーツ姿でスティーブンに近づき、壊れつつあるダークディメンションに向かうように言ったのは、クレアというキャラクターです。原作では彼女は魔術師であり、ダークディメンションの支配者ドルマムゥの姪っ子であり、ダークディメンションのソーサラースプリームです。
今作のエンドクレジットで「インカージョンを修復しないと」とクレアはスティーブンに語っており、彼女が指差した先は、異様な色彩に満ちた空間でした。これは一作目でスティーブンが降り立ったダークディメンションの世界に酷似しています。ダークディメンションも宇宙同士の衝突=インカージョンが起きており、救いを求めているようです。
このクレアは、原作ではスティーブンの妻という設定であり、今後の作品でもどのように関わってくるのかは気になるところです。
イルミナティについて
イルミナティは各界のリーダーたちが集う秘密結社の名前です。原作ではアイアンマン(アベンジャーズ代表)やネイモア(アトランティス代表)がいました。またスティーブン自身(魔術師代表)も名を連ねていましたが、今作では裁かれる立場に。そして他に名を連ねていたのはキャプテン・カーター、キャプテン・マーベル、そして“マスター・”モルドでした。
今回のメンバー選定は、サプライズや、今後のMCU入りの布石の予感もありますね。以下がそのメンバーでした。
ミスター・ファンタスティック/リード・リチャーズ
今後MCU入り予定の「ファンタスティック・フォー」のリーダー。新しい俳優が起用され、ジョン・クラシンスキーが演じました。今回はあまり見せ場がなく、ワンダによって、伸びる体を延々と繰り出され息絶えます。
なおコミコン2024でMCU版「ザ・ファンタスティック・フォー」ではペドロ・パスカルが演じること発表されました。
ブラックボルト
ABCドラマ「インヒューマンズ」からアンソン・マウントがサプライズ登場でした。自身の声を武器にして戦います。しかし、ワンダの魔術で、その能力が自分を攻撃して命を落としてしまいました。
プロフェッサーX/チャールズ・エグゼビア
言わずもがなの、X-MEN/ミュータント代表。すでに「ワンダビジョン」でワンダの弟がX-MEN側のピーターとして登場していましたが、エグゼビアがついにその姿を見せます。しかし、彼の乗っていた車椅子は映画とは異なるアニメと同じ仕様でもあり、今後のMCU入りで異なるキャラになるのかもしれません。
キャプテンアメリカ/キャプテン・カーター
エージェント・カーターが、キャプテン・アメリカの代わりに超人血清を打った姿です。英国国旗の盾で戦うのが、キャップとの違いです。その様子はアニメ「what if…?」で描かれています。今作での彼女のセリフに、キャプテンアメリカのセリフ「I can do this all the way(まだやれる)」があるのは、キャップへのオマージュでしょうか。
キャプテン・マーベル/モニカ・ランボー
この世界では「キャプテン・マーベル」で登場した、モニカ・ランボーがキャプテンマーベルでした。女優はマリア・ランボーを演じたラシャーナ・リンチ。ワンダ&ヴィジョンのモニカはテヨナ・パリスを演じているため、このあたりもマルチバースのズレなのかもしれません。
モルド
スティーブンに嫉妬する、元兄弟子。この世界では、イルミナティメンバーだったはずのスティーブンをそそのかして闇落ちさせたのがこのモルドでした。そのおかげでイルミナティ入りし「マスター・モルド」と呼ばれ、ちょっと得意げでした。
まとめ
- ノー・ウェイ・ホームに続くマルチバースで、悲しみに絶望したワンダがヴィランとなった作品だった
- ヤングアベンジャーズの1人、アメリカ・チャベスが登場。次世代アベンジャーズに期待
- 元カノクリスティーンを吹っ切った、三つ目のドクター・ストレンジの前には、クレアが登場
いかがでしたか?
マルチバースも一件落着か?と思いきや、スティーブンはダークディメンションに行くことになってしまいそうですし、まだまだ先が読めないです、フェーズ4の世界は。
フェーズ4はこの先、マイティ・ソーの作品が続きますし、たくさんの新キャラと、これまでのキャラストーリーの深堀と、忙しくなりそうです。まずは、今作のドクター・ストレンジ作品をしっかり楽しんで、次に備えましょう!
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