「アイアンマン2」は2010年に公開された同タイトルシリーズの第2作目です。またマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の3作目になります。直前は「インクレディブル・ハルク」、直後は「マイティ・ソー」になります。
今作は「アイアンマン1」から半年後が舞台。MCU作品では今後大活躍していくメインキャラ、ブラック・ウィドウが初登場します。S.H.I.E.L.D.との接触も増え、アベンジャーズメンバーの伏線も多く含まれてきます。さらに「アイアンマン3」まで続く黒幕も登場するなど、単独シリーズとしても見逃せません。
この記事ではただ観ているだけでは見逃してしまいがちな伏線や小ネタまで深掘りして「アイアンマン2」を解説していきます。S.H.I.E.L.D.に関わるハワードやブラック・ウィドウはもちろん、今後アベンジャーズに合流していくスパイダーマンやブラックパンサーの伏線まで登場しています。この記事を読めば、MCU作品としての伏線を落とすことなく「アイアンマン2」をしっかり理解できます。
「アイアンマン2」あらすじを丁寧に解説
「アイアンマン2」のあらすじをまとめます。自らがアイアンマンだと宣言した会見から半年後から物語は始まります。
未来への技術を発表する場としてスターク・エキスポを開催したスターク。アイアンマンを兵器とみなす軍事会議に召集され、スーツの引き渡しを命じられるものの拒否します。スタークはアイアンマンは世界を守る存在だと鼓舞します。
その頃、かつてスタークの父ハワードと共にリアクターを共同開発していた科学者アントン・ヴァンゴが他界。アントンは金儲けの考えがすぎたためにハワードに縁を切られていましたが、その息子イワンはスターク一族への恨みを募らせていました。父の発明であるリアクターを自らも生み出し、ウィップラッシュ・マーク1を発明します。
ハマーが支援し、イワンはハマー・ドローンを作り上げる
スタークはアーク・リアクターの元素「パラジウム」が発する毒素で徐々に体を蝕まれている状況でした。自分の最期が近づく中でできることをしたいと決意したスタークは、ペッパーに会社社長を譲ります。さらに社員として登場したナタリー・ラッシュマンを秘書に置きます。
モナコにてカーレースに出場するスタークの元に、突如イワン扮するウィップラッシュが強襲。危機一髪でハッピーとペッパーによってアイアンマンスーツが届けられ、ウィップラッシュのリアクターを外すことに成功。イワンは刑務所へ送られます。
スターク社のライバル会社ハマー・インダストリーを運営するジャスティン・ハマーは、スタークの技術力に対して嫉妬心を抱いていました。ハマーは刑務所からイワンを連れ去り、アイアンマンを見返すために、スターク・エキスポに自作ロボットで乗り込むために手伝ってくれと申し出ます。イワンはハマーの指示を無視しつつ、スーツをドローン(無人機)へと改造していきます。
自暴自棄のスターク、父の想いを知り復活!
毒素の進行が悪化し自暴自棄になったスタークは、アイアンマンスーツを着て酒に酔いパーティで大暴れ。怒ったローディはマーク2を奪い、アイアンマンと喧嘩を始めます。呆れたローディはマーク2を着たまま、空軍基地に帰還します。(これが改造されてウォーマシンになります)
そんな折、フューリーがアイアンマンの元を訪れます。そしてナタリーがS.H.I.E.L.D.のスパイ、ナターシャ・ロマノフであることが判明。自分に未来はないと自暴自棄になるスタークに対し、フューリーは「まだ全てを試していないだろう」と助言を与えます。
さらに、実はハワードがS.H.I.E.L.D.創設者の1人で、トニーのことを非常に評価していたことを告げます。ハワードの残した遺品を与えられたスタークは、その中には息子への期待のメッセージがあることを発見。気を持ち直したスタークはハワードの残した模型から毒素を克服するための元素を生成し、新たなアーク・リアクターを作り上げました。
ウィップラッシュ戦決着!ウォーマシンとアイアンマンが共闘
イワンからスタークへ、ハワードから受けた仕打ちを復讐してやると電話が入ります。危機を察知したスタークはエキスポへ。
エキスポでは、ハマーがドローンとウォーマシンを紹介していました。アイアンマンが訪れると、イワンが遠隔操作で操ったドローンたちが暴走し戦闘が始まります。ロマノフがハマー社に潜入するもイワンは不在。ウォーマシンの洗脳を解き、アイアンマンとウォーマシンは残りのドローンたちを掃討します。
そこへ改良されたイワン扮するウィップラッシュが登場。2人で協力してなんとか倒します。ウィップラッシュとドローンは自爆。危機一髪でペッパーを助け出したスタークは彼女とも和解します。国を守ったものとして、スタークとローディは勲章を授与されました。
「アイアンマン2」では2つのラストシーンが登場
終章1:アベンジャーズ計画〜S.H.I.E.L.D.の評価
ロマノフからの人格評価が最低だったスタークは、アベンジャーズメンバーとして不合格を言い渡されます。フューリーからは、現段階では「相談役」という評価をされます。今作を通じて、S.H.I.E.L.D.とかなり交流を持つようになったスターク。このあとアイアンマンが登場するのは、「アベンジャーズ1」でのチーム結成へと直接繋がって行きます。
終章2:「マイティ・ソー」への伏線〜地球に落ちたムジョルニア
ニューメキシコに配置換えされたコールソン。彼が現地で見たのは、地面に大穴を開けたハンマーです。このハンマー・ムジョルニアは、MCU次回作「マイティ・ソー」でソーが使うメインの武器になります。このシーンはソー映画内で回収されます。
「アイアンマン2」登場人物まとめ
今作からアイアンマンタイトルに追加された主要人物をご紹介します。「アイアンマン」で登場した人物は、こちらで紹介しています。
ブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフ
本作が初出演。ナタリー・ラッシュマンと名乗り、スターク社に入社、ポッツやスタークの秘書として活動します。実際は、S.H.I.E.L.D.のスパイであるブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフ。今作でもがっつりアクションを見せてくれたロマノフですが、今後もMCU作品を通して登場します。
ウォーマシン/ジェームズ・ローディ・ローズ
空軍中佐で、スタークとは友人。マーク2を元に軍事用に改良されたウォーマシンとしての登場は初めてです。本作から演者がテレンス・ハワードからドン・チードルに変更。今後のMCU作品ではアベンジャーズにも助力していきます。
ハワード・スターク
スタークの父で、スターク・インダストリーの創設者。20年前に自動車事故で死去。今回フューリーの話で、S.H.I.E.L.D.の創設者メンバーの1人であることが判明しました(この伏線は「シビルウォー」で回収されることになります)
◆クリスティン・エヴァーハート
「アイアンマン1」でも登場した雑誌記者が再登場。
ここからはヴィランを紹介
ウィップラッシュ/イワン・ヴァンコ
父の仇であるスターク一族への恨みを募らせ、父の設計図から自らアーク・リアクターを生成。その動力を元にウィップラッシュとなって、アイアンマンと戦いました。
アントン・ヴァンゴ
かつてトニーの父ハワードと共にアーク・リアクターを開発した科学者。しかし金儲けにがめつかったために、ハワードから追い出されて転落した人生を送りました。アントンの死が、息子イワンの復讐開始への1つのきっかけとなります。
ジャスティン・ハマー
スターク社のライバル会社ハマー・インダストリーズの代表。いつもスタークに一歩遅れており、彼に対して嫉妬心を抱いています。スタークを強襲したイワンに興味を持ち、イワンを援助することでスタークを失墜させようとしましたが失敗。最後には警察に拘束されました。実は裏にはテン・リングスの影が。
スターン議員
アイアンマンを危険な兵器と見なし、国の傘下に置きたいと考える議員の1人。物語の最後にはスタークとローディに勲章を送る役目も果たしますが、スタークに安全ピンを突き刺すなどよく思っていない様子。実は今後「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」で敵として再登場します。
◆ハマー・ドローン
ウィップスラッシュがハマーの試作品から改造したドローン。陸・海・空の3パターン存在します。
おさえておきたい!「アイアンマン2」7の小ネタ
ここからは押さえておくともっと楽しめる、アイアンマン2の小ネタについてまとめます。
アイアンマンは「マーク6」までバージョンアップ中!
前作でテロ組織に捕まったときに、スタークが作った脱出用アイアンマンがマーク1(その後、敵に改造されてアイアンモンガーとして登場)。そこから本作ではマーク6までバージョンアップしています。
マーク2は両手のひらに仕込んだリバルザー発射装置で飛行中の安定を目指したもの。ただし超高度飛行中の氷結現象に弱かったため、マーク3では素材をゴールド・チタニウム合金に変更して克服します。ここまでは前作で登場済みです。ちなみにウォーマシンはマーク2を元に改造されたものです。
マーク4では鮮やかなカラーリングと戦闘能力の向上を目指し、マーク5は銀のカラーリングで持ち運び利便性をあげたスーツケース型に変形しました。そして最新型のマーク6では、毒素を克服したスタークの象徴・三角形の新型アーク・リアクターが特徴的なモデルになります。
前作のテロリスト「テン・リングス」の影
「アイアンマン1」でスタークを拉致したテロ組織「テン・リングス」。前作で登場が終わったように見えましたが、実は今作のヴィランにもその影響が見られます。例えば、ジャスティン・ハマーの右手小指にある指輪は組織の暗示。また、ウィップラッシュに偽造パスポートを渡したのもテン・リングスの工作員です。実は「テン・リングス」は続編「アイアンマン3」までアイアンマンの敵として暗躍し続けます。
ハルクが大学で暴れた事件が報道されていた
エンドロール後のS.H.I.E.L.D.施設とみられる場所で流されていたニュースには、「インクレディブル・ハルク」でハルクが大学で暴れた映像が出ていました。ハルクとアイアンマンが邂逅するのは「アベンジャーズ」ですが、この時点ですでにMCU世界のつながりを感じるシーンの1つです。
スタークエキスポにきていた少年は、のちのスパイダーマンだった!
アイアンマンのマスクをかぶっていた少年、実はのちにスパイダーマンになるピーター・パーカーなのです。これは「スパイダーマン/ホームカミング」の監督が後付けした設定。作中でもずっとアイアンマンへの愛を語り続けている少年は、こんなに小さな頃からスタークを追いかけていたという夢のある話でした。
ワカンダ(ブラックパンサー)がすでに目をつけられていた!
アベンジャーズ計画をかたるフューリーの後ろに映るモニターには、アフリカの位置に印が。すでにアベンジャーズ構想段階で、ブラックパンサーの存在はS.H.I.E.L.D.には認識されていたのかもしれません。
スタン・リーのカメオ出演は「起業家の老人」
おなじみスタン・リーは、スタークエキスポで挨拶していた老人として登場していました。
キャプテン・アメリカの影もちらほら…
スタークの作業部屋にキャプテンのものに似た盾がありました。実は、元々はスタークの父ハワードが若いころ、キャプテン・アメリカの盾を作っていたので、その名残と見られます。さらに作中にはキャプテン・アメリカのコミックも登場していました。この辺りにもMCU同士の繋がりを感じますね。この作品には他にも「アントマン&ワスプ」や「キャプテンマーベル」に関する伏線が存在しています。
ついにアベンジャーズへの第一歩!「アイアンマン2」まとめ
いかがでしたか。アイアンマン2は時間軸的には直接「アベンジャーズ1」につながっていきます。アベンジャーズ結成へ向けて、アベンジャーズメンバーの伏線がたくさん含まれています。ここではMCU作品として大切なポイントをまとめます。
- スタークの父ハワードがS.H.I.E.L.D.の創設者の1人だったことが判明
今後アベンジャーズを結成していく中心となる組織がS.H.I.E.L.D.で、その創設者としてスタークの父が絡んでいたというのはすごい繋がりですよね。アントン・ヴァンゴはもともとハワードと共にS.H.I.E.L.D.で研究を行っていたため、S.H.I.E.L.D.はアントンやウィップスラッシュを追っていたようです。 - ブラック・ウィドウが初登場
アベンジャーズ初期メンバーの1人になるブラック・ウィドウは今後そのスパイスキルを駆使しながら、MCU作品を横断して活躍します。彼女が初登場した作品として見逃せません。 - ハワードが残した中にキャップの盾のレプリカが登場 → 「キャプテン・アメリカ1」への伏線
今作では伏線だけでしたが、「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」でハワードとキャプテン・アメリカの関係は明らかになります。実際、キャプテン・アメリカの武器である盾はハワードが作成されたもの。 - 「マイティ・ソー」への伏線
コールソンがニューメキシコ州で見つけたハンマーは、次回作「マイティ・ソー」で回収されるソーのメイン武器ムジョルニアです。 - アイアンマンを軍の監視化におく議論 → 今後繰り返し出てくる考え
アベンジャーズ結成後も幾度となく繰り返される「ヒーローを野放しにしていいのか」という議論。実はのちの「シビル・ウォー」の原因になるのも、同じような議論です。また「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」では、今回アイアンマンを監視下に置く主張をしたスターン議員が、実はヒドラの一員だったということが明らかになります。
アイアンマンがこの後登場する作品は「アベンジャーズ1」です。ついに次回ヒーローたちと手を組んで地球外からの脅威と戦います。
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