「アメイジング・スパイダーマン」は2回目の映画化にあたるマーク・ウェブ監督作品シリーズの1作目として、2012年に公開されました。前シリーズのサム・ライミ監督作品との直接的なつながりはなく、「アメイジング」2作品だけで楽しむことができます。
本作ではヒロインが一新されたり、コナーズ博士が原作に即してヴィラン化してしまったり、前シリーズとは違う点が多々あります。比べながら楽しむとより一層スパイダーマンを理解することができます。さらに今作ではパーカーの両親が出てくるのも特徴的です。
この記事では「アメイジング・スパイダーマン」について、ただ見ているだけでは見逃してしまいがちな小ネタも含めて、本編では分かりづらい部分を中心に深掘りして解説していきます。本作では特にサム・ライミ作品との違いを抑えながら、原作情報も含めてお伝えします。
「アメイジング・スパイダーマン」あらすじを丁寧に解説
それでは「アメイジング・スパイダーマン」のあらすじをまとめていきます。幼い頃家を襲われた後、メイおばさんのもとに預けられたパーカー少年。両親はその後、帰って来ませんでした。
パーカーはカメラ付きの青年に成長。ある日、地下室で両親の残したカバンを発見します。そこには父とコナーズ博士の写真、オズコープ社の社員証、「00」の文字のある秘密のファイルがありました。
コナーズ博士との接触を図り、オズコープ社へコナーズ博士の研修生として入り込みます。そこでは憧れの同級生グウェンが助手をしていました。コナーズ博士は右手を失っており、弱者のいない世界を作りたいと語ります。
オズコープ社でぶつかった社員ラーサが落としたファイルを見ると「00」の文字が。パーカーが追いかけると蜘蛛が大量にいる施設にたどり着きます。そのうちの1匹にかまれたパーカーは、超人能力を手にいれます。
ベンおじさんの死、復讐のため悪を倒し始めるスパイダーマン
コナーズ博士の元を訪れるパーカー。父が残した崩壊率について正確な計算を見せたところ、コナーズに興味を持たれます。コナーズはトカゲの尻尾が再生する遺伝子を利用した欠損再生を試みていましたが、その最後の数式をパーカーが解いて完成させてしまいます。
パーカーは手に入れた超人能力を駆使し、学校のいじめっ子フラッシュに恥をかかせます。備品を壊したことで学校にベンおじさんが呼び出されるも、仕返ししたことを咎められてしまいます。
遅くまで出歩いて家に帰ると、家では叔父叔母が心配して待っていました。両親は立派だったのにと咎めるベンに対し、自分を置いていなくなったじゃないか!と怒り家から飛び出します。途中、パーカーはコンビニ強盗に出くわすも、自分とは関係ないと見逃した犯人が、追いかけて来た叔父を射殺してしまいます。
復讐のために、左手首の星のタトゥーの男を探し始めます。スパイダーマンスーツも自作し、能力を磨きながら、スパイダーマンとして悪を懲らしめながら犯人を探し続けるのです。
追い詰められたコナーズは自らで人体実験、リザードに
戦いの末ボロボロになって帰って来たパーカーは何も語らず、メイおばさんは怒ります。秘密は代償を伴うと。
コナーズ博士はラーサに人体実験を早く行うように言われるも拒否したことで、オズコープ社をクビになってしまいます。追い詰められたコナーズは自分で実験。腕の再生に成功しますが、全身リザート化してしまいます。
パーカーはグウェンにディナーに誘われおうちへ。グウェンの父は警察で、スパイダーマンに批判的でした。喧嘩になったパーカーは頭を冷やすために、グウェンとベランダに出てキスを交わします。そこにリザードが暴れている情報が舞いこんできます。
リザードの正体が判明。責任感からパーカーは立ち向かう
スパイダーマンはリザードの暴れる橋から子供を助け出します。リザードはそのまま地下水道に逃げ、コナーズ博士に戻るも、投薬量を増やして実験を続けてしまいます。
リザードの事件の犯人はスパイダーマンだと世間で騒がれます。そこでパーカーは愛するグウェンにだけ真実を全て話しました。
パーカーはコナーズ博士の元を訪れるも、すぐ追い返されてしまいます。コナーズ博士が犯人だとふんだパーカーは、グウェンの父に伝えるも相手にしてもらえません。大量のトカゲが地下水路に入っていく様子を見たパーカーは、博士も地下水道にいると踏んではり込みます。
そこで投薬量を増やし強化されたリザードと遭遇。命からがら逃げ切ったパーカーはグウェンの元へ。コナーズに数式の答えを教えてしまった責任を感じていたパーカーは、再びリザードを止めるべく立ち上がります。
グウェンの父の犠牲の元、リザードを元に戻すことに成功
パーカーを狙いリザードは学校へ。2人は激突します。パーカーはリザードを元に戻すための血清を求め、グウェンにオズコープ社へいく様伝えます。リザードは警察に包囲されるも、持っていた薬を散布したことで警官もリザードに変えてしまいます。
スパイダーマンも悪者として警察に捕まってしまいます。グウェンの父に正体がばれるも、グウェンが危ないことを伝え見逃してもらい、オズコープ社へ。グウェンの父も協力してくれ、血清を散布することに成功します。リザードは博士に戻りますが、グウェンの父はリザードに刺されて死んでしまいます。死ぬ間際にパーカーに対して、もうグウェンに近づくなという呪いの言葉を残します。
言いつけを守ってグウェンと離れようとしたパーカーでしたが、メイおばさんの言葉で勇気付けられ、再びグウェンと近づく様になるのでした。
「アメイジング・スパイダーマン」登場人物まとめ
登場した主要人物についてまとめていきます。
ピーター・パーカー/スパイダーマン
幼い頃叔父叔母に預けられ、両親が帰ってこなかった青年。父の残した研究であるクモに噛まれたことでスパイダーマンの能力を手に入れます。科学のセンスは父親譲りです。その出生や設定はほぼサム・ライミ版とも同じですが、演者はアンドリュー・ガーフィールドが担当しました。
グウェン・ステイシー
「アメイジング」シリーズではMJは登場せずグウェンがヒロインとして扱われます。原作でもパーカーの特別な恋人であったグウェンですが、本作ではオズコープ社のスタッフとしても働く女性として登場します。
ジョージ・ステイシー
グウェンの父で、スパイダーマンに批判的な警官。リザードとの戦いで殺されてしまう際、パーカーに対しグウェンに近づくなという呪いをかけます。
ベン・パーカー
パーカーの叔父。パーカーの父代わりとして育ててきましたが、喧嘩の末出て行ったパーカーを追いかけた際に強盗に殺されてしまいます。「アメイジング」シリーズではベンおじさんの名言「大いなる力には大いなる責任が伴う」がカットされていたため、賛否が分かれました。
メイ・パーカー
パーカーの叔母。ベンおじさん亡き後もパーカーのことを常に案じてくれる優しいおばさんです。
ラジット・ラーサ
オズコープ社の社員。ノーマンの病気を治すために、コナーズ博士に対し研究の早期人体実験を急かした人物です。この人物は映画「ヴェノム(2018)」の重要な人物として登場。
フラッシュ・トンプソン
シリーズでお馴染みであるパーカーの同級生でいじめっ子。原作ではヴェノムになる重要人物の彼ですが、サム・ライミ版でもマーク・ウェブ版でもただのいじめっ子キャラとして登場したに止まりました。
ここからはヴィランを紹介
カート・コナーズ/リザード
サム・ライミ版ではパーカーの担当教授として登場したコナーズ博士。「アメイジング」シリーズでは、原作に即して片腕のない研究者として登場し投薬の失敗によってリザードとなってしまいました。
サプライズとしてMCU版「スパイダーマン:ノーウェイホーム(2022)」でもリス・エヴァンス本人が登場しました。
おさえておきたい!「アメイジング・スパイダーマン」6の小ネタ
今作では、サム・ライミ監督の3部作との設定の違いを中心に考察していきます。
ヒロインはMJからグウェンに変更
「アメイジング」シリーズではグウェンがヒロインになりました。サム・ライミ版では3作目に登場していたグウェンですが、今回はより原作に近い形で登場しました。原作ではパーカーの初代恋人で、結婚まで意識したカップルでしたが、グリーンゴブリンが橋から突き落としたことでグウェンは殺害されてしまいます。この事件はパーカーの心に深い傷を追わせます。
実はこの殺害されてしまう演出が「アメイジング・スパイダーマン2」で採用されます。この演出にはかなり批判も多く、打ち切りの要因の1つになったのではとも言われています。
歴代ヒロインについて
スパイダーマンはマーベルの中でも珍しく、パーカーの恋愛や青春にスポットを当てている作品でもあります。パーカーは恋多き少年のため、ヒロインがたくさんいます。歴代ヒロインについて紹介します。
「アメイジング」シリーズのヒロイン・グウェンとは結婚まで考えた関係。またサム・ライミ作品のヒロインMJ、サム・ライミ作品に登場した新聞社の経理ベディ・ブラントとも恋をしています。他には「アメイジング・スパイダーマン2」に登場するフェリシアの原作での姿ブラックキャットや、映画には登場しませんがニューヨーク市警に勤める科学捜査官カーリーとも付き合っていました。
MCU版のMJはミッシェル・J・ワトソン。「スパイダーマン:ファーフロムホーム」では同級生から恋人に近い存在になっていきます。ピーターの正体を知っている人物でもあります。また登場するリズは原作でもパーカーを好きになりますが恋は実らず、シルクも原作で惹かれ合うものの付き合う関係にまでは発展しません。
パーカーの両親が登場
サム・ライミ作品には登場しなかった両親が本作では登場します。叔父叔母にパーカーを預けて行方不明とされていますが、続編で飛行機事故を装って殺されてたことが明らかになります。原作では両親はCIAの工作員で、父リチャードはS.H.I.E.L.D.に所属したこともあります。
コナーズ博士が原作に近い設定で登場
サム・ライミ作品では大学教授として登場し、ヴェノムの解析などパーカーの味方として活躍したコナーズ博士。本作では原作に近い設定で登場しました。原作でも映画と同様、腕を再生し同じ状況の人を助けることを夢見て研究していたコナーズでしたが、実験に失敗して人間の理性を失ったリザードになってしまいます。
原作のジョージ・ステイシーはスパイダーマン支持派
本作ではスパイダーマンに否定的だったグウェンの父。原作では登場時点ですでに引退した警部だったジョージは、グウェンの彼氏であるピーターに親切でスパイダーマンにも好意的でした。ジョージは瓦礫の落下から子供を助けた時に死亡してしまうのですが、その際にピーターに対して「くれぐれも娘を頼む」とお願いしたほどです。映画とは真逆とも言えます。
スタン・リーはカメオ出演
恒例のスタン・リーのカメオ出演。今回はリザートとスパイダーマンが学校で戦っている際に気づかない、図書館の老人として登場しました。
「アメイジング・スパイダーマン」まとめ
「アメイジング・スパイダーマン」では、サム・ライミ版スパイダーマンとの違いを中心にまとめます。
- サム・ライミ版との違い1:ヒロインが違う
サム・ライミ版ではMJがヒロインとして扱われ、グウェンは3作目に少しだけ登場したキャラクターにすぎませんでした。「アメイジング」シリーズでは、グウェンがヒロインとして取り扱われます。原作でもパーカーの最初の恋人で結婚まで考えた彼女です。 - サム・ライミ版との違い2:コナーズ博士がヴィランに
サム・ライミ版では大学教授として登場したコナーズ博士。「アメイジング」シリーズでは原作に即し、片腕をなくした研究者として登場しました。腕を再生する実験に失敗してリザートとなり、スパイダーマンと戦います。
さらにMCU版ではMJを元にオリジナルで作られたヒロイン・ミッシェルが登場します。監督によってヒロインが違うのは、比較して見ると面白いポイントでしょう。
続編は「アメイジング・スパイダーマン2」になります。次回作ではサム・ライミ版でも大きく取り扱われたグリーンゴブリンと、原作でもスパイダーマンと戦ったエレクトロがヴィランとして登場します。さらにMCU版スパイダーマンでも登場予定のヴィラン集団「シニスター・シックス」の結成も示唆されます。「アメイジング・スパイダーマン2」についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
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