スーパーヒーロー映画「ファンタスティック・フォー」が、2度目のリブート作品としてMCUシリーズに登場します。「ファンタスティック・フォー」は、宇宙で「超」能力を授かった4人がヒーローチームとなって活躍する作品です。過去2005年に一作目が映画化され、2015年にリブートもされました。そしてこのたび、2019年のサンディエゴコミコンにて、MCUのフェーズ5の作品になると発表されました。
ファンタスティック・フォーがコミックで初登場したのは1961年。スタン・リーとジャック・カーヴィが作り上げました。古参のヒーローチームで、その後のヒーロー誕生にも影響を与えたという、マーベルの歴史を語るにはなくてはならない存在であると同時に、マーベルの知名度を一気にあげた作品でした。
そんな作品が、MCUワールド全盛期とも言えるこの時期に今再びのリブートですから、新たな解釈や、今だからこそできる演出など、期待はいやが上でも高まります。そんなリブート公開の前に、まずは初代作品「ファンタスティック・フォー 超能力ユニット」を、おさらいしてみることにしましょう。
「ファンタスティック・フォー」あらすじを丁寧に解説!
リードは根っからの研究者気質で、親友のベンととも、ある研究の支援を依頼のため、ヴィクター・フォン・ドゥームに面会を申し込んでいました。ヴィクターに会うことを渋るベンをよそに、リードは「悪人じゃないから」と説き伏せ、巨大なビルに向かいます。
リードは、人間のDNAに変化をもたらすと考えられる宇宙嵐の研究が、地球を救うと考えていました。しかし、NASAからも断られ、MIT時代の旧友であるヴィクターの元を訪ねたのです。ヴィクターは大学時代から、リードをライバル視しながらも後塵を拝したものの、その後事業に大成功しフォン・ドゥーム産業を興していました。
宇宙嵐の研究をするために、フォン・ドゥーム産業のもつ宇宙施設を使いたいというリードの申し出に、ヴィクターは研究成果の商用利用と、ぼったくりのような利益分配を提案します。もう後が無いリードは、その条件を飲むことにしました。
宇宙嵐を浴びてしまった4人の体に変化が
宇宙行きはすんなりと決まりました。しかし、ヴィクターが主導権を握り、ヴィクター自身の参加とリードの元カノである遺伝子学者のスーザンと、スーザンの弟ジョニーをパイロットとして同行させることを強行します。パイロット時代のベンは、部下の1人で息の合わないジョニーとの再会となりました。
旅立った宇宙船では、実験も進んでいたはずでした。船内では、ヴィクターが地球をながめながスーザンに求婚しようとしていました。そしてベンが、実験のため船外に出ていたとき、7時間後に来るはずだった宇宙嵐が、突然数分後に襲来することがわかります。リードたちは宇宙嵐から身を守るシールドを閉めきれず、それによって4人は宇宙嵐を浴びてしまいます。
地球に戻った4人は、フォン・ドゥーム産業の病院に隔離され、身体チェックを受けます。無事退院と思われていた4人でしたが、徐々にその体に変化が訪れます。リードは手が伸びるようになり、スーザンは体が透明になりました。病院を抜け出したジョニーはヘリスキー中に体が発火してしまいます。そしてベンは体が岩のように変化したことにショックを受け、病室を破壊して飛び出しました。ベンは婚約者デビーの元に向かいますが、彼女に拒否されてしまいます。
災い転じてヒーロー活動をした4人と、会社を追われるヴィクターは金属体に
一方のヴィクターは、宇宙での実験が失敗したことにより公開株が急落し、役員会で責められていました。彼もまた宇宙で宇宙嵐を浴びていたため、顔に傷を負い、体が金属のように変化し始めていることを感じていました。
婚約者デビーにも振られてしまったベンは、ブルックリン・ブリッジで途方にくれていました。しかしその真横で、自殺を図る男を偶然助けたことで、多くの車が衝突事故を起こして、姿が世間に晒されるという憂き目にあいます。失踪したベンを追って駆けつけたリードとスーザンとジョニー3人は、ベンに近づこうと能力を発揮し、連鎖して起きる事故を避けていきます。
ブルックリン・ブリッジでの騒動は、最終的に大きなはしご車の落下を、ベンの怪力で食い止めたことで収まります。しかし、デビーは婚約指輪を目の前で置いて去ってしまいました。岩の指では、その指輪さえつかめない体になってしまったベンを見て、リードは「元の姿に戻す」と誓います。4人を取り囲む報道陣に、リードは「フォン・ドゥーム産業の宇宙基地での事故でDNAが変化してしまった」と説明。それによりヴィクターは、その責任を押し付けられる形で、フォン・ドゥーム産業を追われてしまいます。
ファンタスティック・フォーと呼ばれる4人、しかし仲間割れか?
リードの住居兼ラボで共同生活を始めた4人は、それぞれの能力のデータ解析を進めました。スーザンとリードは元サヤに。体が発火するジョニーは小惑星が生まれるほどの温度を出せることがわかり、ベンは1人でもエレベーターの重量制限に引っかかる重さであることもわかりました。行き場を無くしたヴィクターはスーザンにも振られ、リードに「解決法を早く見つけろ」と言い残し姿を消します。
ヴィクターの体は、放電ができる勇気化合金属へと変貌を遂げていました。そしてマッドサイエンティストよろしく、その能力を高めようと目論見ます。そのため受診した医師からCDCに通報すると言われると医師を殺害、フォン・ドゥーム産業の支配権を奪ったネッドを「ラトヴェリアに戻ってやり直せ」と言われたことで激昂し殺し、次第に悪意をむき出しにしていきます。
ラボで過ごす4人は、宇宙基地で着用していたボディスーツも、同じく宇宙嵐によって変化していることに気づき、能力が裸でなくても発揮できることに気づき、着用するようになります。そして世間は彼らを「ファンタスティック・フォー」と呼び、もてはやすように。調子に乗るジョニーはポルシェのナンバープレートを「トーチ(松明)」にし、その存在をド派手にアピールしようと、勝手に他の3人の名前をつけてしまいますが、ベンを元の姿に戻そうとするリードたちとの”温度差”は、ますます開いていきました。
ベンは元どおりに。そのために悪の化身ドゥームが誕生してしまう
全てを失ったヴィクターは、着々と復讐の準備を進めていました。MK457熱追尾式ミサイルと、超低温冷却装置を武器庫に侵入して入手します。そして、心を閉ざしかけていたベンに同情を装い近づいてきました。ベンはパブで盲目の女性アリシアから「見た目をどう思うかは、心がけ次第」と諭されるものの、見た目で誰も近づいてこないことに寂しさを募らせているところでした。
リードの開発している宇宙嵐発生装置は、あと一方の段階でした。しかし、リードが自身を実験台にするも、その体がとけるほどにゴム化してしまうトラブルも。研究が遅々として進まないことにますます落胆するベンに、ヴィクターは「リードはスーザンと一緒にいたいから、研究を遅らせている」と嘘を吹き込みます。そして、自身がベンを宇宙嵐発生装置で元に戻せると誘います。
リードの作った宇宙嵐発生装置にベンを入れ、自身の放電パワーを使い、装置を作動させてしまいます。かくしてベンは元の姿に戻りましたが、ヴィクターはその姿を金属に変えていました。祖国のラトヴェリア共和国から贈呈された鉄のマスクをかぶったヴィクターの目的は、ベンを戻すことでなく、宇宙嵐を自身も間接的に浴びることでパワーをさらに増幅することでした。
宿敵ドゥームとの最初の戦い。街を守ったファンタスティック・フォー
体の弱ったリードはヴィクターに捕まってしまいます。スーザン、ジョニーはラボで元の姿になったベンに喜びます。しかしそれもつかの間、ヴィクターは3人がいるラボにミサイルを発射、ジョニーが発火してミサイルをそらすことに成功しますが、捕まったリードは超低温冷却装置でゴムが固められてしまい殺される間際です。リードの元に駆けつけたスーも捕まってしまいます。ピンチに陥った3人を「人間だと助けられない」と悟ったベンは、再び宇宙嵐発生装置に入るのでした。
岩のような巨体に”戻った”ベンが、リードの元に駆けつけます。ベンの怪力でフォンドゥーム産業のビルをぶっ潰し、戦いの場は街中に。4人が揃い、ヴィクターとの戦闘が始まりました。その放電パワーを駆使するヴィクターに、4人は苦戦します。
研究者同士の対決だけに、ヴィクターの性質を読み切ったリードたちは、ジョニーの熱放射をスーザンのシールド効果で浴びせ続け、ヴィクターの体を流動体に変化させました。そして、ベンの怪力で水道管破壊して放出した水を、リードのゴムホース変体でヴィクターの体にかけることで急速冷却し、固めることに成功します。ヴィクターは動かぬ金属の塊となり、ピンチを乗り切ります。4人は「ファンタスティック・フォーはヒーローチームとして戦う」と決意を固めるのでした。
エンディング1:リードはスーザンにプロポーズ
危機を回避した4人の活躍を祝うパーティで、リードはスーザンにプロポーズします。ベンは盲目の女性アリシアという恋人ができました。
エンディング2:ヴィクターの体はラトヴェリアへ
金属の塊となってしまっヴィクターは、そのままフォン・ドゥーム産業の名が刻まれたコンテナに積まれました。そしてそのコンテナは、巨大な貨物船に。貨物船の船尾には「ラトヴェリア行き」とあり、映画は終わります。
「ファンタスティック・フォー」登場人物
ファンタスティック・フォーの4人は、全員が同じ宇宙施設での実験中に、宇宙嵐を浴びたことにより「被曝」して、その結果DNAが変異したことで後天的に能力を得た人たちです。
この4人は、長らくの友人関係もある上に、能力を得た後にその絆を強めました。
リード・リチャーズ/Mr.ファンタスティック
リード・リチャーズは、ファンタスティック・フォーのリーダーです。宇宙嵐に被曝したことで、体をゴムみたいに伸縮させることができる能力を持ちました。
天才科学者で、多くの世界一の称号を持っている生粋の研究者。それゆえに、研究以外のことは鈍感で、それによってMIT時代にスーザン(リードたちはスーザンのことを「スー」と呼ぶ)と破局してしまいました。今作でも、ちょいちょいその天然ぶりを発揮しており、スーザンのナイスバディを褒めるかと思いきや、スーザンのコスチュームの特別繊維を賞賛しています。原作ではスーザンとめでたく結婚しており、2児の父でもあります。
演じたのはヨアン・グリフィズです。
スーザン・ストーム/インビジブル・ウーマン
スーザン・ストームは、ファンタスティック・フォーの中での唯一の女性キャラです。宇宙嵐に被曝したことで、自分の周辺の光を操作して、自分自身だけでなく、周囲のものを見えなくすることができたり、光を操ることで光の壁を作ることもできます。姿を消すことはできますが、衣類は消せないので当初は下着まで脱ぐというお色気路線になりかけていましたが、途中からコスチュームのおかげで免れました。
リードと同じMITで学んでおり、専門は遺伝子学。ヴィクターからも思いを寄せられていましたが、リードを選びます。今作序盤は、どんな経緯かヴィクターのフォン・ドゥーム産業に勤務していました。
演じたのはジェシカ・アルバです。
ジョニー・ストーム/ヒューマン・トーチ
ジョニー・ストームは、ファンタスティック・フォーでもっともお調子者で、チームの盛り上げ役です。宇宙嵐に被曝したことで、炎を操ることができるようになります。その最高発火温度は4000度にまで達するので、普通の服も着ることができません。炎の力で、超高速スピードで飛ぶこともできます。炎を発生させる時には「FLAME ON(発火)!」と叫ぶのがお決まりです。
ジョニーはスーザンの弟で、ベンとは、空軍パイロット時代の上下関係にありました。今になってもベンをからかい、いつも怒らせています。4人の中で唯一、能力を得たことを誰よりも喜び、今作でもメンバーの名前をはしゃいでスーザンのことを「インビジブル”ガール”」などと、名付けるなどしていました。原作でもスーザンは一瞬「ガール」と名乗っています。原作でもやんちゃなのは変わらず、年齢が近いスパイダーマンやアイスマン(X-MEN)とワルガキ仲間でした。
演じたのはクリス・エヴァンス。お堅いイメージのキャプテン・アメリカとは一風変わったキャラなクリスも、楽しめます。
ベン・グリム/ザ・シング
ベン・グリムは、ファンタスティック・フォーで唯一、見た目も変化したキャラです。宇宙嵐に被曝したことで、体が巨大化し表面が岩のようになり怪力を持っています。体の中も岩のようになっているので、その体重の重たさだけでも破壊力は抜群で、飛び降りるだけで地面が割れますが、その一方で重すぎてエレベーターに乗れません。彼の決め台詞「It’s clobberin’ time!(お仕置きの時間だ)」は原作でも定番です。
ベンは学生時代からリードの親友で、スーザンとの恋も応援していました。またリードの研究を応援しています。原作では元空軍のテストパイロット宇宙飛行士で、今作もリードと宇宙に旅立つ際のパイロット候補でした。能力を得たことによって見た目が見にくくなったことに悩み、婚約者デビーも失いましたが、新しくアリシアという恋人と出会います。
演じたのはマイケル・チクリスです。
[st-minihukidashi fontawesome=”” fontsize=”” fontweight=”” bgcolor=”#f3f3f3″ color=”#000000″ margin=”0 0 20px 0″]ヴィラン[/st-minihukidashi]
今回登場したのは、原作ではファンタスティック・フォーの宿敵「ドクター・ドゥーム」であるヴィクター・フォン・ドゥームでした。ドクター・ドゥームは、単独映画構想もあるほどの人気キャラです。
ヴィクター・フォン・ドゥーム/Dr・ドゥーム
ヴィクター・フォン・ドゥームは、ファンタスティック・フォーの4人とともに宇宙に旅立ち、同じように宇宙嵐に被曝したことで、体がチタンより強くダイヤより硬い有機化合金属に変化してしまいます。放電パワーを備え、その度に顔にも傷がついていくことによって、ラトヴェリア共和国から授与された鉄の仮面をかぶるようになります。
ヴィクターはリードの大学時代の同級生です。しかし常にリードに後塵を拝しており悔しさを常に抱えていました。彼は利益優先主義の科学者として事業を興し、フォン・ドゥーム産業の社長として成功している所に、リードが訪ねてきたことにほくそ笑みます。また、MIT時代からスーザンのことを狙っており、今作ではプロポーズをするも、目の前でリードとスーザンが元サヤに戻るのを目の当たりにし、復讐心が加速してしまいます。
原作では、ラトヴェリア共和国の君主で、今作同様リードを逆恨みしてヴィラン化する設定です。ただし原作では敵対しながらも、ファンタスティック・フォーを手助けしたりするなど、単なる悪役ではないあたりが、人気の理由のようです。
演じたのはジュリアン・マクマホン。当初はティム・ロビンスも候補にあがっていたようですが、ジュリアンの冷たい雰囲気と狂気に走る様子は、はまり役と言っても良さそうです。
ファンタスティック・フォーにまつわる小ネタなど
幻の一作目を経た今作。当時はかなりの肝いり作品
ファンタスティック・フォーの映画作品には「幻の一作目」があります。実は今作の前、1994年に一度制作されているのです。つまり、今作より先に映画化がされています。しかし、それをここで紹介しないのは、結局お蔵入りになり、一作目認定されていないからです。
当時、ファンタスティック・フォーの映画化権の期限切れが迫っていたという制作会社が、ひとまず作っておけとばかりに作られました。それは低予算製作が得意なロジャー・コーマンによっての映画化でしたが、前評判通りのかなりの駄作だったそうで日の目を浴びることはありませんでした。
そして今作制作の際は、長寿人気コミックだっただけに、「初代の映画」の2005年版の気合いは相当なものでした。「X-MEN」シリーズのヒットも経験した製作陣で挑み、マーベルで多くのキャラを生み出した重鎮スタン・リーが原作・製作総指揮を務めたのです。脚本は当時では「チャーリーズエンジェル/フルスロットル」で人気を博したサイモン・キンバーグ。今作後には「トリプルX」の脚本や「X-MEN アポカリプス」「ローガン」も製作しています。
原作に忠実な作品、かつややコミカル
ファンタスティック・フォーのメンバーの出で立ちは原作そのままで、左胸に④が記されたボディスーツを着用しています。1961年の原作では、自家製のスペースシャトルで宇宙に旅立った4人が謎の光線を浴びたことで特殊能力を身につけ、ヒーロー活動をするチームとして描かれています。
ただし、原作と異なるのはスーの能力の描き方です。序盤は、透明になるために下着姿になるシーンという、コメディタッチなシーンもあり、それも話題となりました。
また、原作ではリードとスーは結婚してフランクリンとヴァレリアという名の子供をもうけますが、映画作品ではまだ結婚すらできていない状況です。また、ファンタスティック・フォー入りをスパイダーマンがアルバイトとして志願するという回もあり、他キャラのクロスオーバーが今後期待できそうな設定もあるのです。
スタンリーは郵便屋さんで登場
マーベル創世記を支え、マーベル映画の多くにカメオ出演していることで知られたスタン・リーは、今作でもしれっと登場しています。かつ初めて、コミックに登場するキャラクターを演じているので、ぜひチェックをしましょう。
リードの住むバクスタービルに郵便物を届けにきた、親切な郵便屋ウィリー・ランプキンで、滞納しまくっていた催告書をリードに手渡しました。
まとめ
- 超能力を得た4人が期せずして力を合わせて戦うヒーローチーム作品
- 原作にかなり忠実で、コメディ要素やドタバタ感もあって楽しめる
- 原作では有名なヴィラン、ドクタードゥームの誕生も描かれている
いかがでしたか?ファンタスティック・フォーがどんなチームかを理解するには、とってもわかりやすい作品です。軽いタッチでありながら、4人の人間関係やドクター・ドゥームの苦悩もはっきり描かれている今作は、MCUでのリブート前に要チェックです。
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